診療実績一覧

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掲載内容
  • 最近1年間の主な治療(診療)内容と件数
  • 主な疾患別入院治療件数または総手術件数
  • 悪性腫瘍 主要な疾患での治療成績
  • その他実績

血液内科

白血病やリンパ腫から再生不良性貧血、血小板減少症まで幅広い血液疾患の診断・治療を行っています。
造血幹細胞移植の症例数は、2003年より11年間連続して年間100例を超えています。このうち臍帯血移植の割合が多くを占めるのが当科の特徴です。今後より確実な治療法として、臍帯血移植の特殊性を乗り越えて確立すべく臨床研究を進めています。当科では疾患の状態や患者さんの状態(年齢等)にあわせた移植方法を選択しており、60歳代~70歳代前半の患者さんに対して同種造血幹細胞移植の適応が広がっています。
リンパ腫・骨髄腫などのリンパ増殖性疾患の新規患者数は年間約100例で、病理診断科・臨床検体検査部の協力のもと、最新の診断分類に基づいて適切な治療が提供できるように努めています。

血液内科図1.png

内分泌代謝科(内分泌部門)

直近の入院患者数を疾患別に表に示しました。当院の特徴として、間脳下垂体疾患の患者さんが全国的にも突出して多いことが挙げられます。間脳下垂体外科での手術例が多く、術前・術後の内分泌機能の評価や、機能性腫瘍の治療目的に入院される方が多くいらっしゃいます。

また、甲状腺疾患ではバセドウ病で入院される患者さんの多くは放射性ヨウ素内用療法あるいはバセドウ病眼症の治療を目的とされています。なお、2019年より甲状腺癌に対する放射性ヨウ素内用療法は行なっておりません。その他、腫瘍性骨軟化症の診断・治療といった稀少疾患の対応も行なっています。

内分泌疾患の多くは外科的な治療を必要としますが、治療後に各種のホルモンが不足してしまうこともあります。このような場合の適切な評価と治療方針の決定も当科で行っています。補充が必要なホルモンの種類とその量は、性別、年齢、元の疾患などにより様々です。可能な限り患者さんのご希望に沿えるように、ひとりひとりの患者さん毎に最適な治療法を考えています。

入院患者数(%)の推移

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 
合計              392(100) 329(100) 313(100) 291(100) 322(100) 332 (100) 383(100)

下垂体

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 
先端巨大症 63(16.1)

69 (21.0)

48 (15.3)

43 (14.8)

42 (13.0)

49 (14.7)

55 (14.3)

プロラクチン産生下垂体腺腫 4(1.0)

5 (1.5)

5 (1.6)

6 (2.1)

5 (1.6)

7 (2.1)

11(2.9)

クッシング病 52(13.3)

38 (11.6)

40 (12.8)

18 (6.2)

34 (10.6)

34 (10.2)

32(8.4)

TSH産生下垂体腺腫 4(1.0)

6 (1.8)

8 (2.6)

10 (3.4)

14 (4.3)

9 (2.7)

9(2.3)

非機能性下垂体腺腫 60(15.3)

31(9.4)

25 (8.0)

47 (16.2)

50 (15.5)

60 (18.0)

66(17.2)

頭蓋咽頭腫・ラトケ嚢胞 43(11.0)

28(8.5)

32 (10.2)

21 (7.2)

34 (10.6)

43 (12.9)

36(9.4)

中枢性尿崩症・SIADH 9(2.3)

12 (3.7)

25 (8.0)

15 (5.2)

16(5.0)

9 (2.7)

12(3.1)

成人GH分泌不全症 8(2.0)

4 (1.2)

14 (4.5)

5 (1.7)

6(1.9)

11 (3.3)

24(6.3)

その他(下垂体機能低下症など) 36(9.2)

37 (11.2)

38 (12.1)

49 (16.8)

42 (13.0)

38 (11.4)

58(15.1)

甲状腺

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 
バセドウ病 12(3.1)

13 (4.0)

8 (2.6)

8 (2.7)

6 (1.9)

7 (2.1)

5(1.3)

甲状腺癌 7(1.8)

4 (1.2)

0 (0.0)

1 (0.3)

1 (0.3)

0 (0.0)

2(0.5)

その他(プランマー病など)    6(1.5)

8 (2.4)

1 (0.3)

3 (1.0)

6 (1.9)

3 (0.9)

4(1.0)

カルシウム・骨代謝疾患

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 
原発性副甲状腺機能亢進症    6(1.5)

5 (1.5)

0 (0.0)

5 (1.7)

3 (0.9)

3 (0.9)

3(0.8)

骨粗鬆症 6(1.5)

1 (0.3)

4 (1.3)

2 (0.7)

1 (0.3)

2 (0.6)

1(0.3)

骨軟化症 3(0.8)

2 (0.6)

2 (0.6)

2 (0.7)

0(0.0)

0 (0.0)

0(0.0)

その他 6(1.5)

1 (0.3)

2 (0.6)

1 (0.3)

5 (1.6)

0 (0.0)

4(1.0)

副腎

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 

クッシング症候群       
(異所性ACTH症候群を含む)

8(2.0)

5 (1.5)

8 (2.6)

5 (1.7)

11 (3.4)

16 (4.8)

7(1.8)

原発性アルドステロン症 25(6.4)

22 (6.6)

18 (5.8)

25 (8.6)

12 (3.7)

5(1.5)

14(3.7)

褐色細胞腫 5(1.3)

7 (2.1)

4 (1.3)

5 (1.7)

3 (0.9)

3 (0.9)

7(1.8)

副腎偶発腫 0(0.0)

2 (0.6)

0 (0.0)

4 (1.4)

3 (0.9)

1 (0.3)

3(0.8)

Addison病 3(0.8)

2 (0.6)

0 (0.0)

0 (0.0)

1 (0.3)

0 (0.0)

0(0.0)

その他 4(1.0)

0 (0.0)

0 (0.0)

1 (0.3)

0 (0.0)

2 (0.6)

0(0.0)

多発性内分泌腺腫症・膵内分泌腫瘍

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 
                1(0.3) 3 (0.9) 3 (1.0) 1 (0.3) 2 (0.6) 6 (1.8) 1(0.3)

生活習慣病

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 
糖尿病             12(3.1)

9 (2.7)

14 (4.5)

4 (1.4)

7 (2.2)

7 (2.1)

5(1.3)

その他 2(0.5)

5 (1.5)

1 (0.3)

2 (0.7)

1 (0.3)

1 (0.3)

1(0.3)

その他

 2017年度   2018年度   2019年度   2020年度   2021年度   2022年度   2023年度 
                8(2.0) 10 (3.0) 8 (2.6) 8 (2.7) 17 (5.3) 16 (4.8) 23(6.0)

内分泌代謝科(糖尿病・代謝部門)

入院治療数

2021年度 2022年度 2023年度
内分泌代謝科(糖尿病・代謝部門) 202 193 271

呼吸器センター内科

肺がん

肺がんの診療は、診断から治療および緩和ケアまで、患者さんに安心して受診していただけるように、一貫して行っています。当院では、病理部で肺がん細胞のEGFR遺伝子変異などを検査しており、個々の患者さんに適したお薬(分子標的薬)を選択し、個別化治療を行っています。また、肺がんの治療成績向上のため、多くの臨床試験に参加し、新しい治療法の開発にも取り組んでいます。

びまん性肺疾患

間質性肺炎やびまん性汎細気管支炎などのびまん性肺疾患に関しては、厚生労働省のびまん性肺疾患に関する調査研究班に参加し、診断や治療に関する研究を行っています。

呼吸器感染症

細菌性肺炎、肺結核、非結核性抗酸菌症、肺アスペルギルス症など、種々の原因菌による呼吸器感染症を速やかに診断し、適切に治療しています。

疾患別入院患者数

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

 原発性肺癌

438

386

411

361

 肺炎

221

163

123

95

 COVID2019感染症
 (中等症〜重症)

-

27

185

187

 びまん性汎細気管支炎

12

10

7

8

 気管支拡張症

6

4

6

9

 胸膜炎/膿胸

23

23

21

21

 肺真菌症

17

21

9

11

 肺結核

21

20

26

24

 非結核性抗酸菌症

50

59

44

51

 間質性肺炎

137

161

143

182

 器質化肺炎

9

6

9

8

 好酸球性肺炎

6

6

4

6

 慢性閉塞性肺疾患

34

14

13

22

 気管支喘息

39

22

6

11

 気胸/縦隔気腫

9

12

10

15

 サルコイドーシス

15

9

12

10

 その他腫瘍

42

23

38

 希少疾患

7

4

6

 その他

175

35

47

34

 合計

1212

1027

1103

1099

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

 気管支鏡件数

282

226

282

289

 CTガイド下生検数

32

9

18

7

呼吸器センター外科

1999年~2023年までの25年間に呼吸器センター外科では、10,026件の胸部疾患に対する手術を行い、うち9,455件(全体の94.3%)3-port3か所の創)胸腔鏡下手術のみで行った手術でした。最近の14年間では、1年間の手術件数と胸腔鏡下手術の割合がさらに増加し、14年間で6,607件の胸部疾患に対する手術を行い、うち6,494件(全体の98.3%)が胸腔鏡下手術のみで行った手術でした。当科では2008年以降は、1年間に行う約400550件の胸部疾患の総手術のうち、97%以上の胸腔鏡下手術の施行率を継続しております。また、最初から最後まで胸腔鏡下手術のみで行う割合(完遂率)も、最近12年間では99.7%(開胸移行率が0.3%以下)でありました。これらの長い期間での当科での実績により、上記の様々な疾患に対しても胸腔鏡下手術の適応を徐々に拡大し、安全かつ的確に手術を行っておりますので、いつでもご相談して頂けると思います。我々にとって胸腔鏡下手術は一般的で常に行っている手術であり、現在はロボット手術(ダビンチ手術など)との共存(ロボット支援胸腔鏡手術)も、保険適応症例に対しては行っており20243月までに94件施行しております。当科でのロボット手術の特徴は、ロボット手術でも創部数が胸腔鏡下手術と同様に3ヵ所のみであることです。

20231月~121年間での虎の門病院呼吸器センター外科での全身麻酔の手術件数は4952020年は400,2021年は416,2022年は433件)と、2019年からのコロナ流行下でも豊富な手術件数を維持しながら、更にコロナ流行の改善と共に様々なクリニック、病院、大学より紹介を頂き、最近4年間では特に手術件数は増加傾向です。うち3-port3か所の創で行う)胸腔鏡下手術(含ロボット支援胸腔鏡下手術)で行った手術は488(全手術の98.6)と大半を占め、胸腔鏡下手術の完遂率(最初から最後まで胸腔鏡下手術で問題なく完遂した手術率)は99.8でした。また両側肺疾患に対する両側同時一期的胸腔鏡下手術症例43例(8.7%)、ダビンチ支援胸腔鏡下手術214.3%)でした。疾患別手術件数は、原発性肺癌・肺悪性腫瘍247転移性肺腫瘍78胸腺腫などの縦隔腫瘍(含:重症筋無力症の手術)48膿胸を含む感染症などの炎症性肺疾患59気胸・嚢胞性肺疾患43などと、どの疾患の手術をとっても全国でも有数の症例を有しています。

当科の特徴としては、人間ドックで発見された特に合併疾患のない方の早期の肺癌から、癌の専門病院では十分に診療できない、透析中、心血管疾患治療中、間質性肺炎やぜんそく、肝障害など他の全身疾患治療中などの困難症例の肺癌手術など、さまざまな患者さんの肺癌手術に対応しているという点です。これは97%以上の手術を低侵襲の胸腔鏡下手術で行っているという点と、総合病院の特徴を生かして、専門の他科と良好な連携を取っているからです。また最近では、非常に小さい腫瘍や、多発する両側肺腫瘍に対しても、術中自走式CTを併用することで、前処置やそれに伴う合併症なく、より低侵襲な手術を実現しています。外来初診時から約714日で手術が可能であり、手術後順調に経過すると、肺癌の標準的な治療である肺葉切除術と系統的リンパ節郭清を胸腔鏡下手術で行い術後36日で、縦隔腫瘍手術は術後23日で退院し社会復帰することができます。

現在の当科での上記疾患に対する胸腔鏡下手術の術中・術後創部

胸腔鏡下手術中の術野写真(3か所の創部で3mm細径鉗子等を使用した手術)

術後の創部写真(下部の創はその創より肺や病変を袋に入れ摘出するため病気の大きさ(肺葉切除の場合は2~3.5cm程度)により異なります)

当科でのロボット支援下胸腔鏡下手術の術中写真




虎の門病院 呼吸器センター外科 総手術件数(1999年~)

呼外手術実績2023.png

最近のTOPICS

~より小さい腫瘍や多発する肺腫瘍に対する術中自走式CT(ハイブリット手術室)を併用したより侵襲の少ない胸腔鏡下手術~

検診等の充実や早期発見早期治療により、より小さい腫瘍や多発する肺腫瘍に対する手術が増えてきました。胸腔鏡下手術とは非常に傷が小さく侵襲の少ない良い手術ですが、開胸手術(胸腔内に手を入れて行う手術)に比して、胸腔内の肺や腫瘍を直接触診できない欠点がありました。今までその欠点を補うために切除肺腫瘍の正確な場所把握のための手術前処置として、様々なCT下のマーキング法の併用や、少し傷を大きくし指で触診するなどの対応が行われていました。当院では2019年の新病院始動と共に手術室が一新され、日本ではまだ数の少ない自走式CTを併用したハイブリット手術室が導入されました。C-アームやO-アームのCTより画像解像度がよく、小さい腫瘍でも術中に十分に確認しながら胸腔鏡下手術が行えるようになったため、合併症や時間を伴う手術前の処置が必要なくなり、より傷の小さい低侵襲な胸腔鏡下手術での切除が可能となりました。2019年の新病院開始以降202312月までに虎の門病院呼吸器センター外科では、417症例(含両側疾患)に対して、この自走式CTを併用した安全かつ侵襲の少ない胸腔鏡下手術での正確な切除を皆様に提供することができています。

術中自走式CTを併用したより侵襲の少ない胸腔鏡下手術の術中写真

14.jpg




睡眠呼吸器科

CPAP治療されている方は、毎月1回外来受診が義務付けられています。現在、睡眠呼吸器科では月に約2030名のCPAP導入を行い、当科外来では常に1,000名ほどの方がフォローされています。

2020年 2021年 2022年 2023年
PSG件数 322 382 412 431
CPAP導入件数 260 271 319 318

消化器内科(胆・膵)

入院数

2023年度の延べ入院件数は885件で、新型コロナウイルスの対策が継続していたにもかかわらず前年度(826件)より増加した。平均在院日数は9.0日で、前年度(9.0)と同様に10日未満であった。

診療概要

当科は胆道・膵疾患の診療を主体とし、一部肝疾患の診療も担当している。他診療科と主疾患が重複しており、密に連携を取り合いながら患者さんのことを最優先に最適な診療を提供できるように努力している。特に胆道・膵疾患にみられる閉塞性黄疸に対する内視鏡的胆道ドレナージは本院・分院含め当科が一手に引き受けており、迅速に対応するように心がけている。

2023年度の入院患者の疾患内訳は、悪性疾患が213(26%、前年21)であり、悪性疾患の内訳では膵癌139(65)、胆道癌50(23)(胆嚢9件、肝内胆管4件、肝門部18件、遠位胆管16件、乳頭部3)、その他24件の順であった。良性疾患では,例年通り胆石症(急性胆管炎、急性胆嚢炎、胆石性膵炎など)が多く、胆道の内視鏡的治療が数多く行われた。

例年、悪性疾患では新規患者ほぼ全例について消化器外科肝臓内科臨床腫瘍科放射線科病理診断科と週1回キャンサーボードを開いて検討していたが、2020年以降は新型コロナウイルス流行のため定期カンファレンスは開催できなかった。2024年3月よりようやく再開となった。

検査・処置・治療など

ERCP関連治療手技が2023年度635(53)、超音波内視鏡(EUS)が2023年度705(59)と胆膵内視鏡件数は計1,340件と増加傾向を維持した。原則鎮静下に低侵襲に行うことを心がけており、また全ての検査・処置に日本消化器内視鏡学会専門医が携わっている。通常の処置以外にバルーン内視鏡を用いたERCPEUS下ドレナージなども積極的に施行している。難治症例については他診療科との合同カンファレンスで検討し、内視鏡処置に固執せず、経皮処置や外科的処置など個々の症例に合わせ柔軟に対応している。また当院肝胆膵外科は低侵襲手術を数多く手掛けており、内科での検査から外科での手術までシームレスに最短で終了できるように心がけている。

当科は病院全体の腹部エコー検査を担当し、件数は本院2023年度18,417件(1,535/月)、人間ドックエコー件数2023年度19,981件(1,665/月)と昨年と同等であった。それ以外、さいたま診療所の腹部エコー診断も担当した。日本超音波医学会超音波専門医を中心にレベルの高い検査・判読に努めている。

胆膵内視鏡件数2023.png

消化器内科(胃腸)

検査件数(2020~2023年)

2020 2021 2022 2023
上部消化管内視鏡 10330 11422 11741 11327
下部消化管内視鏡 6687 7430 7540 7432
小腸内視鏡 21 18 14 25
小腸カプセル内視鏡 30 46 35 36
大腸カプセル内視鏡 7 7 7 4
合計 17075 18923 19337 18824

ESD/ER治療件数(2020年~2023年)

2020年 2021年 2022年 2023年
咽頭ESD 44 45 48 62
食道ESD 118 135 144 134
胃ESD 180 165 211 202
十二指腸ER 61 67 84 74
大腸ESD 122 167 87 139
大腸EMR/CSP 2023 2566 2653 2735
合計 2548 3145 3227 3346

ESD;内視鏡的粘膜下層剥離術
EMR;内視鏡的粘膜切除術
CSP;コールドスネアポリペクトミー
ER; ESD+EMR+CSP

脳神経内科

2023年は 入院患者数 300例、うち急性期脳血管障害が 166例。
脳血管障害以外には変性疾患、神経筋疾患、多発性硬化症、脳炎・髄膜炎、てんかん性疾患等も多く神経疾患全般に幅広く対応しています。
脳血管障害は本院では超急性期から急性期の診療に力を入れています。回復期は分院や他の回復期リハビリテーション施設と連携し、病期と病状に応じた適切な医療施設での医療をうけられるよう心がけています。

循環器センター内科

2023年の心臓カテーテル件数は冠動脈造影が641件で、PCI(経皮的冠動脈インターベンション)総数は284件でした。急性心筋梗塞などの緊急カテーテル治療は65件でした。
PCI初期成功率は慢性完全閉塞(CTO)病変を含め非常に高い成功率を誇っており、術後長期の成績も極めて良好です。冠動脈以外の血管に対する経皮的血管形成術(PTA)も92件行われました。

2023年の心臓電気生理検査、カテーテルアブレーションは131例行われました。当院では全身麻酔下に最新の3Dマッピングシステムや、クライオアブレーションなどの最新技術を使用してアブレーション治療に取り組んでおり、「一度で治す」を目標に現在最も力を入れている分野です。詳細は心臓・血管カテーテルセンターのページをご参照ください。

2023年ペースメーカー植込みはジェネレーター交換も含めて131例でした。ICDは6件、CRTは25件行われ、原因不明の失神患者に対するループレコーダー植え込み18件なども行っております。

週2回、病棟カンファレンスを火曜日と木曜日の朝に行っています。カンファレンスについては水曜夜には外科症例について全員が集まり検討しております。
第3木曜には三井記念病院、聖路加国際病院、順天堂大学、東京医科大学などの循環器医が集まり合同の症例検討会を行っています。その他いろいろな研究会、学会で患者さんの診療情報を除いた形で研究発表を行っております。

クライオバルーンアブレーション.jpg

クライオバルーンアブレーション

3Dマッピングを用いたBox隔離術.jpg

3Dマッピングを用いたBox隔離術

循環器センター外科

腎センター内科

過去6年間の本院と分院をあわせた診療実績です。のう胞腎関連の診療は主として分院で行っています。年々入院しながら透析をしている患者さん、さらには病棟から移動できない透析患者さんが増加しております。

過去7年の入院患者数

2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
入院総数 2,305 2,122 2,390 2,264 1,979 1,937 2,105
腎生検患者数 162 181 200 199 212 239 176
糖尿病性腎症 286 228 249 217 188 170 105
膠原病 460 418 458 421 388 371 397
対外循環患者 971 966 1,017 961 779 782 833
嚢胞腎・肝 752 673 738 728 564 590 636

過去7年の治療内容と件数

2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
腎生検 162 181 200 199 212 239 176
嚢胞腎・肝塞栓術 60 69 77 77 70 63 64

過去7年の血液浄化療法の治療内容と件数

2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
血液透析件数 39,276 38,466 38,839 39,541 37,572 35,917 35,852
入院患者透析室透析件数 13,467 11,509 12,413 13,467 11,509 9,885 10,176
入院患者病棟透析件数 550 1,108 499 550 1,108 1,037 1,026
CAPD外来件数 249 221 204 234 249 252 253
特殊治療件数 244 214 231 283 339 398 530
新規導入件数 126 146 103 119 108 166 107

腎センター外科

手術症例数 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
合計 553 648 743 710 782 808 893
腎臓移植 本院 9 17 24 19 19 25 29
分院 10 13 18 14 10 15 17
合計 19 30 42 33 29 40 46
死体腎 4 3 7 6 3 4 5
腹腔鏡下ドナー腎摘術 本院 7 15 22 16 17 21 25
分院 8 12 13 11 9 15 16
合計 15 27 35 27 26 36 41
副甲状腺摘出術 本院 5 3 3 1 1 1 0
分院 3 0 1 0 2 0 1
合計 8 3 4 1 3 1 1
バスキュラーアクセス 本院 109 84 118 110 104 83 95
分院 112 130 122 103 118 90 133
合計 221 214 240 213 222 173 228
経皮的血管拡張(PTA) 本院 180 192 198 173 181 169 224
分院 104 168 197 252 310 365 341
合計 284 360 395 425 491 534 565
CAPDカテーテル留置 本院 3 1 10 1 3 5 3
分院 2 9 10 6 8 12 8
合計 5 10 20 7 11 17 11
嚢胞腎摘出術
分院 1 4 7 4 0 7 1
合計 1 4 7 4 0 7 1

虎の門病院は、1982年に分院で腎移植を開始し、2002年からは本院でも行うようになり、2023年までに792例(うち献腎移植150例)の腎移植を行いました。本院、分院ともに腎移植施設として日本臓器移植ネットワークに登録されています。

腎移植件数、生体腎移植と献腎移植の生着率比率

20230228腎外図①.jpgkidney_s_2023.png

リウマチ膠原病科

透析中及び腎不全をお持ちのリウマチ膠原病の診療は他の施設にない特徴です。
外来患者数約1,000人/月、入院患者数65人/日、生物学的製剤使用は過去2年間に約300名、全身性エリテマトーデス診療中の患者は約200名、関節リウマチ患者は600名です。リウマチ患者での内科治療のみならず、手術が必要な患者や肺病変のある患者の対応ももう一つの特徴です。

精神科

2022年度の病棟診療実績は、表の通りです。
本院・分院ともに、躁うつ病とうつ病関連病態の精査・診断、治療を主におこなっています。病名は、うつ病やその関連病態、躁うつ病のほか、統合失調症、適応障害、神経症圏、広汎性発達障害など多彩です。
うつ状態や適応障害にはさまざまな要因が関与しており、それを把握することが適切な治療に繋がります。当院では検査入院プログラムを提供しております。

2022年度診療実績表

疾患名 人数
合計 64
統合失調症 3 4.7
妄想性障害 2 3.1
急性一過性精神病性障害 1 1.6
双極性障害 11 17.2
うつ病 17 26.6
うつ状態 1 1.6
心因反応 2 3.1
神経症 3 4.7
気分変調症 1 1.6
不安障害 3 4.7
強迫性障害 1 1.6
適応障害 2 3.1
転換性障害 2 3.1
解離性障害 2 3.1
心気症 3 4.7
身体表現性障害 6 9.4
摂食障害 1 1.6
多動性障害 1 1.6
レビー小体型認知症 1 1.6
睡眠障害 1 1.6

小児科

 2023年の年間入院患者数は345名でした。疾患の内訳では、呼吸器等の感染症、喘息等のアレルギー疾患、胃腸炎等の消化器疾患といった急性疾患が全体の半数近くを占めていました。多くは周辺のクリニック・病院から入院のご紹介を頂いたり、休日夜間の救急外来で入院した患者さんです。
 視床下部・下垂体腫瘍の診断・治療については脳外科・間脳下垂体外科と連携して専門的な診療を行っています。関東圏だけでなく全国からの紹介患者があり、2023年度はのべ31名の入院がありました。頭蓋咽頭腫の根治術や下垂体腫瘍性疾患の生検に際しては、内分泌障害を伴うことが多いため特別な周術期管理を必要としますが、当院においては小児科が管理も担うことによって小児に適したケアを行っております。遠方の方はご紹介頂いた病院と連携をとって診療にあたっています。

過去6年間の入院治療数

主病名 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
呼吸器 56 68 23 61 76 72
免疫・アレルギー 27 23 15 25 24 58
血液 0 0 0 2 1 0
腎・尿路 21 20 13 19 13 16
消化器 7 10 4 11 18 11
神経・運動器 9 9 10 7 2 18
内分泌 47 60 47 38 61 55
感染症・その他 20 20 17 9 27 59
新生児 48 38 45 62 52 56
合計 235 248 174 234 274 345

皮膚科

診療実績(入院)

総麻酔件数

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
手術件数 271件 284件 200件 284件 270件
レーザー件数 105件 74件 60件 74件 68件

診療実績(外来)

総麻酔件数

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
手術件数 1,187件 1,080件 936件 955件 898件
レーザー件数 3,820件 3,887件 3,061件 3,819件 3,519件

疾患別新規患者数

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
悪性黒色腫 22件 16件 9件 11件 3件
乳房外Pagret病 12件 8件 5件 7件 4件
有棘細胞癌 11件 12件 13件 19件 22件
基底細胞癌 62件 56件 46件 49件 51件
ボーエン病 14件 16件 18件 19件 23件
メルケル細胞癌 1件 1件 1件
アポクリン腺癌 1件
らせん腺癌 1件
菌状息肉症 2件 1件 (紅斑型)1件
脂腺癌 1件
直腸肛門癌のパジェット現象 1件
隆起性皮膚線維肉腫 2件
平滑筋肉腫 1件
芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍 1件

臨床感染症科

臨床感染症科の病床は7床であり、2022年度の入院件数は297人でした。うち最多の228人をCOVID-19が占めましたが、他にも、非結核性抗酸菌症、デング熱、腎盂腎炎、旅行者下痢症、椎体炎・椎間板炎、髄膜炎、感染性心内膜炎、黄色ブドウ球菌菌血症、など多彩な疾患を担当いたしました。
また、当科は他科の患者さんについてコンサルテーションの形で診療にあたっている場合が多くあります。COVID-19の影響により、院内のコンサルテーション件数も一時期減少いたしましたが、2022年度一定期間のフォローアップを要する新規相談件数は537件でした。
その他、感染対策チームの主要メンバーとして院内感染対策活動を担い、感染症の予防も重視しトラベルクリニック・ワクチン接種外来も開設しています。

放射線科

核医学検査

核医学検査はX線CTなどの形態画像では得られない機能情報を得られるので、病気の診断だけでなく、重症度の判定や治療方針の決定に役立ちます。
PET検査を除くほぼ全ての核医学検査に対応しています(PET検査は虎の門病院付属健康管理センター・画像診断センターで行っています)。心臓核医学と脳核医学の検査数が多いのが本施設の特徴です。

翌診療日までの核医学検査報告書完成率(2019-2023年).jpg

核医学治療

核医学治療は去勢抵抗性前立腺癌骨転移に対する放射性ラジウム(Ra-223)治療、甲状腺機能亢進症に対する放射性ヨウ素(I-131)治療、甲状腺癌甲状腺全摘後における残存甲状腺破壊(アブレーション)の放射性ヨウ素(I-131)外来治療に対応しています。

放射線治療科

診療実績

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
脳・脊髄の腫瘍 15 16 19 24 29
頭頸部がん(のど、声帯のがんなど) 10 7 9 10 8
食道がん 29 33 41 42 48
肺、縦隔のがん 56 45 44 49 48
乳がん 136 169 179 260 272
肝臓、胆のう、すい臓のがん 20 36 35 34 37
胃、小腸、大腸、直腸のがん 46 68 62 75 94
婦人科のがん(子宮がんなど) 6 12 13 10 8
泌尿器科のがん(前立腺がんなど) 53 60 88 113 106
血液腫瘍(白血病、悪性リンパ腫など) 64 87 89 90 114
皮膚がん、骨や軟部の肉腫 5 6 5 2 5
その他のがん 3 7 5 4 4
良性の病変 0 0 0 1 0
脳転移 34 33 36 31 37
骨転移 105 108 107 95 94

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
強度変調放射線治療(IMRT) 127 190 189 239 267
体幹部定位放射線治療(SBRT) 3 25 46 56 66
全身照射(TBI) 30 48 61 52 74

消化器外科(上部消化管)

食道疾患の治療

食道癌の治療は、手術治療(内視鏡治療、外科手術)、抗がん剤治療、放射線治療、免疫療法(現時点では治験にとどまる)など、多岐にわたり、それぞれの良さを生かして治療していく"集学的治療"が非常に重要となってきます。当院で食道癌治療を受けられる方の多くは当科で担当させていただいておりますが、消化器内科(主に内視鏡切除<ESD>を担当)、臨床腫瘍科(主に化学療法と治験を担当)、放射線科(放射線療法を担当)と相談し、最適の治療を選択しています。

当科での食道癌手術症例

shokudougan2023.png

2020年に食道癌にかかられて初めて当科を受診された患者さんは84人でした。上述のとおり、食道がんの治療には"集学的治療(手術、抗がん剤、放射線などの治療を集めた治療)"が重要です。食道癌と診断された方のうち、内視鏡治療で対応できると判断された方は消化器内科に紹介しています。当科を受診された患者さんにうち、手術により治癒を目指せると判断した64人の方に外科手術を行いました。このうち54人(84%)の方は、より手術ダメージが少ない胸腔鏡手術を受けられています。2019年12月より、手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた胸腔鏡下手術も開始し、26人の患者さんにロボット支援下手術を行いました。

食道癌の治療のために、手術そのものの精度は重要ですが、術後の合併症、とくに喉の動きや肺炎などの合併症が起きないことが重要です。食道がん治療センターにて、術前のリハビリ、耳鼻科、歯科受診など合併症予防のための準備をすすめます。また、手術を受けた後の長期的なQOLの維持・改善が重要と考えています。食道癌術後の誤嚥性肺炎は時に命にかかわる場合もあるリスクとなります。そのリスクを極力減らすべく、術後QOLの改善のため独自に胃温存回結腸間置再建術を進めてきました。この術式を行うことで、"食道癌が手術で治った"、に加えて逆流を防止し、"肺炎にならずに長生きできる"を目指して、ご希望の方には今後も積極的に施行してゆく方針です。声帯の温存など機能を温存する治療も行います。

食道の粘膜下腫瘍に対する手術では、食道を切除せずに胸腔鏡下に腫瘍を摘出することを行っています。

胃疾患の治療

胃癌に罹られる方、胃癌で死亡される方は徐々に減ってきていますが、それでも日本人にとって胃癌は重要な病気となります。胃癌の治療は、手術療法を中心として、抗癌剤治療や最近では免疫治療(オプジーボ)など様々な治療を組み合わせて行っています。

早期癌と診断された場合には、内視鏡治療(ESD)か外科手術(多くの方が腹腔鏡手術)を受けられることになります。内視鏡治療で根治できるのか、外科手術が必要となるのかは、病気の大きさや組織型、病気の深さなどの要素で決まってきます。当院の消化器内科は、胃癌の内視鏡治療(ESD)の日本の先進施設ですので、内視鏡治療で治る方が多数います。

外科手術が必要となった場合には、患者さんの負担が減り、術後のQOLを保てるように、積極的に傷の小さな腹腔鏡手術を行い、またできるだけ胃全摘を回避するように努めています。現時点で腹腔鏡手術を受けられる方は、進行がんの方を含めて90%ほどです。また、胃全摘を極力回避して噴門側胃切除や胃亜全摘(胃上部を残した噴門機能温存手術)を積極的に行っておりますので、胃全摘を行う方は当院では10%ほどにまで減少しています。2019年12月より、手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いた胸腔鏡下手術も開始し、多くの患者さんに受けていただいております。

胃粘膜下腫瘍のうち、胃GISTは悪性疾患であり、増大すると肝臓や肺などに転移することもあります。当科では2cm以上のものは積極的に腹腔鏡での胃部分切除(病気の部位のみを切除)を行い、根治を得ております。2cm以下の方でも、大きくなってきている方などは、手術をお勧めする場合もあります。また、胃の切除範囲を必要最小限とするべく、術中に内科医と協力して切除範囲を決めるというLECS(腹腔鏡内視鏡合同胃局所切除)も積極的に行っており、これまでに50例ほどを施行しております。

当科での胃癌・胃粘膜下腫瘍手術症例

胃癌手術件数推移.png

2023年に胃癌・胃粘膜下腫瘍にかかられて初めて当院を受診された患者さんは98人でした。胃癌と診断された方のうち、内視鏡治療で対応できると判断された方は消化器内科に紹介しています。当科を受診された患者さんにうち、手術を要すると判断しました94名の方に外科手術を行いました。このうち93名(99%)の方は、傷の小さな腹腔鏡手術(ロボット手術を含む)を受けられております。

食道癌・胃癌ともに、術前・術後補助、再発治療を中心とした入院・外来通院化学療法を受けられる方も多数いらっしゃいました。食道癌においては、手術ではない治療をご希望の患者さんには、主に根治的化学放射線療法を施行しました。再発してしまった場合に対しても患者さんとの相談の上で可能な限り集学的に積極的な治療を提供しています。合併症を有した患者さんは各内科診療科と協力し治療をすすめます。また、食道癌、胃癌とも再発例も含め、外科、内科(消化器内科、臨床腫瘍科)、放射線科、病理学科合同の毎週の上部消化管治療カンファレンスで治療方針について検討を加え、関連各科の連携により幅広い治療を展開しています。

消化器外科(肝・胆・膵)

 当科は肝胆膵外科のhigh volume centerとして本邦有数の症例数を誇ります。4名のスタッフ医師全員が日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医・指導医の資格を持ち、主治医としてすべての手術に参加する体制で年間500~600件の肝胆膵外科手術を行っております。2015年以降の肝切除・膵切除などの悪性疾患に対する手術件数は年間250-300件前後で推移しており、そのうち約半数が肝胆膵外科高度技能手術に相当する高難度手術です。肝胆膵癌に対する標準的な治療はもちろん、高度進行癌や併存疾患を有するハイリスク症例に対しても、総合病院としての利点を生かし、専門各科との密な連携のもと安全性と根治性を追求しています。

総手術件数

 肝胆膵総手術件数2023.jpg

 当科は肝胆膵外科の high volume center として本邦有数の症例数を誇ります。肝胆膵外科領域における年間の総手術件数は500~600件。うち250~300件前後が肝胆膵の悪性腫瘍(癌)に対する切除です。肝胆膵癌に対する標準的治療はもちろん、高度進行癌や併存疾患を有するハイリスク症例に対しても、総合病院としての利点を生かし、専門各科との密な連携のもと安全性と根治性を追求しています。

肝切除術

 肝切除術件数2023.jpg

 当科の強みの一つは、原発性肝癌、転移性肝癌に対する豊富な肝切除術の経験と治療体制です。肝臓内科、下部消化器外科との密な連携のもと、進行癌に対しても必要に応じて化学療法やその他の治療法を組み合わせた集学的治療の提供体制を確立し、同時に多くの臨床研究を通じて従来の周術期管理や手術リスク評価法を見直し、手術の安全性と根治性を常に追求しています。特に近年では積極的な腹腔鏡手術の導入により手術による侵襲をできるだけ低減する試みに力を入れており、安全性と根治性を担保しつつ、なるべく体への負担の少ない外科治療の提供を目指しています。

膵切除術

膵切除術件数2023.jpg

 膵臓外科分野は膵癌や神経内分泌腫瘍(NEN)をはじめとする膵悪性腫瘍、膵管内乳頭粘液腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)などの前癌病変を有する患者数の増加を反映し、膵切除件数は年々増加しています。膵切除においても安全性と根治性が担保できる条件下であれば可能な限り腹腔鏡下手術を選択しています。膵癌に対する切除後の5年生存率も37%と向上しております。

胆道手術

 胆道手術件数2023.jpg

 胆嚢摘出術は主に胆石症、胆嚢ポリープなどに対する治療として消化器外科分野において最も多く行われている手術です。1990年に本邦で腹腔鏡による胆嚢摘出術が始まり、当科でも同年から腹腔鏡下胆嚢摘出術を採用し、年間の手術件数は250-300件と本邦で最も症例数が多い施設の一つです。胆嚢摘出術はありふれた手術の一つである一方、高度の炎症を伴うケースでは難度が高く決して安全な手術というわけではありません。当科では消化器内科・胆膵との密な連携のもと、複雑な症状・合併症を有する患者さんにもできるだけ低侵襲かつ安全な治療を心がけております。

 

消化器外科(下部消化管)

乳腺・内分泌外科

虎の門病院・乳がん初回手術件数

虎の門病院・乳がん初回手術件数
2016年 345件
2017年 281件
2018年 320件
2019年 360件
2020年 372件
2021年 390件
2022年 428件
2023年 501件

乳腺内分泌外科グラフ1.png

脳神経外科

手術症例

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
脳脊髄腫瘍摘出術・生検術 77 71 83 68 80 92
脳動脈瘤クリッピング術 50 38 48 49 61 55
脳脊髄血管奇形摘出術 6 9 4 4 9 7
脳血管バイパス術(もやもや病含む) 35 25 29 31 38 33
頸動脈内膜剥離術 19 23 28 26 31 15
脳出血手術(血腫除去術) 14 29 37 39 39 36
慢性硬膜下血腫洗浄術 34 34 32 35 32 45
微小血管減圧術 5 3 6 2 4 12
水頭症手術 18 19 20 18 23 20
その他 54 75 67 71 81 57
合計 312 326 354 343 398 372

手術件数グラフ

脳神経血管内治療科

虎の門病院で行なわれる血管内手術件数(出張手術は含まず)は、例年170件前後となっています。

最も多いのは未破裂脳動脈瘤の塞栓術です。カテーテルやステントなどの治療機器の発達により治療可能な動脈瘤の幅が広がり、近年増加傾向にあります。また当院は、難治性である大型・巨大脳動脈瘤に対する血流改変ステント(フローダイバーター)治療の実施施設に認定されており、大型・巨大脳動脈瘤症例の紹介も増えています。

頚動脈狭窄症に対するステント留置術については、年齢、プラーク性状、全身併存疾患等の因子を術前に十分吟味します。その結果、外科的手術法である内膜剥離術と比較して同等もしくは、より安全に治療できると判断した症例のみにステント留置術を行っています。

急性期血行再建術は、急性期の脳梗塞に対し閉塞血管の血栓を回収して再開通させるという手術であり、急性期脳梗塞患者さんの症状を劇的に改善できる有効な治療です。当院で治療を行った症例では92.8%で有効な再開通が得られています。

動静脈シャント疾患には主に脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻が含まれます。複雑な血管構造の病変を治療しますが、当院では高精細なMRI、血管撮影画像による術前評価に力を入れており、緻密な治療戦略に基づいた安全な治療を実践しています。また、ハイブリッド手術室が稼働しており、外科手術と血管内手術のコラボレートも可能となっています。

引き続き、専門性高く、良質な医療を提供すべく、努力を続けて参ります。また、都心部で脳外科、神経内科、血管内治療すべての専門医がそろって救急医療を行っている施設は少なく、脳卒中救急にも重点を置いて取り組んで参ります。

院内手術件数

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
脳動脈瘤塞栓術 68 62 64 59 62 89 61
頸動脈ステント等 25 17 38 22 46 33 52
急性期血行再建術 22 14 25 18 23 36 24
動静脈シャント疾患 12 13 11 20 16 35 11
脳腫瘍塞栓術 10 5 9 10 1 2 2
その他 10 12 12 31 23 15 12
全体 147 123 159 160 171 200 162

間脳下垂体外科

2018 2019 2020 2021 2022 2023
非機能性 83 89 61 55 62 63
プロラクチノーマ 7 11 5 5 6 8
先端巨大症 67 37 35 27 32 28
クッシング病 13 20 12 19 19 12
TSH産生 6 4 6 11 7 4
頭蓋咽頭腫 25 17 16 18 22 21
ラトケ嚢胞 15 25 18 15 16 16
髄膜腫 5 6 6 2 4 3
脊索腫など 1 2 0 1 1 0
下垂体炎 1 3 2 4 2 1
後葉系腫瘍 0 0 0 1 1 1
胚細胞腫 0 6 4 5 3 2
その他 15 12 11 12 4 11
合計 238 232 176 175 179 170

間脳下垂体外科グラフ2.jpg

整形外科

関節疾患

人工関節手術について

関節表面の骨を切除し、金属やセラミック、ポリエチレン等の人工物に取り換える手術です。手術によって痛みを大幅に軽減させ、関節の動きを改善することが可能であり、関節痛に苦しむ患者さんにとって日常生活を楽にすることが期待できます。当院では主に股関節と膝関節の手術を行っています。

【人工股関節全置換術 (THA: Total Hip Arthroplasty)】
原則として全例に前方アプローチ(DAADirect Anterior ApproachもしくはALS: Antero-Lateral Supine approach)で行っています。前方アプローチは仰向けの体位で筋肉を切らずに筋間から入っていく方法です。従来の後方アプローチと比べて皮膚切開が短く(男性は約8cm、女性は約6cm)、筋肉の損傷も小さい低侵襲(MIS: Minimal Invasive Surgery)の手術方法です。これにより術後の疼痛がより少なく、リハビリテーションの進行も早くなっています。術後の脱臼も起こりにくいと言われています。また、両側同日手術も行っています。

【人工膝関節全置換術 (TKA: Total Knee Arthroplasty)】
膝前面の皮膚を約15cm切開し膝蓋骨(お皿の骨)や筋肉を避けて手術を行います。膝関節の内側だけが悪い患者さんには、内側だけ人工物に取り換える単顆置換術(UKA: Unicompartmental Knee Arthroplasty)も行っています。また、両側同日手術も行っています。

脊椎疾患

近年の脊椎外科の進歩にはめざましいものがありますが、脊椎外科においても低侵襲手術が普及し始めております。その目的を達成するために当院では内視鏡を中心とした最先端の医療機器を揃えております。従来の手術では一箇所手術するのに、おおよそ5cmほどの切開が必要でしたが、内視鏡手術では2cm以下ですみます。また内視鏡手術では背骨についた筋肉を全部剥がす必要がないため術後の痛みが軽く、病態により異なりますが術後おおよそ45日の退院が可能で、状態が安定していれば退院後早急に社会復帰も可能です。

当科でも201610月以来脊椎内視鏡手術を導入しております。年間の脊椎手術件数も増加しておりますが、内視鏡下手術実施中にこれに特有と考えられる合併症を起こした事例はありません。
現在、腰部脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア・腰椎変性すべり症・頚椎症性脊髄症では可能な範囲で脊椎内視鏡手術で対応しております。

主な手術症例と件数

人工関節手術

2018 2019 2020 2021 2022 2023
人工股関節全置換術(THA 86 96 90 98 149 124
人工膝関節全置換術(TKA 47 52 66 74 69 60
人工膝関節単顆置換術(UKA 5 8 4 18 3 0

脊椎手術

2018 2019 2020 2021 2022 2023
頚椎椎弓形成術 8 13 25 18 25 43
頚椎前方除圧固定 6 5 5 5 8 10
頚椎内視鏡下椎弓切除術 7 11 10 5 9 11
ヘルニア切除(そのうち内視鏡手術) 19(19) 15(15) 33(33) 37(37) 51(50)

53(50)

椎弓切除術(そのうち内視鏡手術) 68(68) 81(72) 84(76) 75(65) 117(100) 142(127)
後方除圧固定術(そのうち内視鏡手術) 28(16) 39(20) 47(32) 40(17) 58(17) 53(27)
腰椎側方椎体間固定術(そのうち内視鏡手術) 1(1) 13(10) 20(15) 22(16) 27(21) 34(21)
脊椎腫瘍手術 5 12 16 11 13 11
BKP(セメント注入) 10 6 25 21 40 23
その他 23 7 25 37 13 14
合計 175 202 290 271 361 394

形成外科

手術症例数(入院手術)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
外傷 12 15 24 11 11 20 22
先天異常 13 4 8 5 5 6 4
腫瘍 213 264 217 230 225 244 274
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 9 8 9 4 10 15 9
難治性潰瘍 42 67 29 70 60 35 42
炎症・変性疾患 9 10 15 8 5 15 13
美容(手術) 2 1 0 0 1 0 0
その他 45 40 14 13 17 20 20
Extraレーザー治療 0 0 0 1 0 1 0
合計 345 409 316 342 334 356 384

手術症例数(外来手術)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
外傷 16 4 12 7 14 12 5
先天異常 5 4 2 11 5 5 3
腫瘍 99 100 99 94 85 112 110
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 14 17 11 17 12 7 14
難治性潰瘍 9 2 1 5 3 6 10
炎症・変性疾患 11 18 24 18 28 22 19
美容(手術) 11 4 0 2 1 0 1
その他 18 48 60 36 49 42 60
Extraレーザー治療 22 17 10 15 10 13 4
合計 205 214 219 205 207 219 226

産婦人科

手術実績

 

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

開腹手術

広汎・準広汎子宮全摘術/子宮頸部摘出術

9

9

11

5

4

4

単純子宮全摘術/付属器摘出術(悪性腫瘍)

49

40

44

41

37

43

骨盤リンパ節郭清術(開腹)

20

22

26

20

20

18

傍大動脈リンパ節郭清術

14

15

24

11

13

16

単純子宮全摘術(良性腫瘍・前癌病変)

36

49

54

37

36

21

腫瘍摘出術/大網切除術(悪性腫瘍)

1

1

5

2

2

1

付属器摘出術/嚢腫摘出術(良性腫瘍)

19

18

13

11

13

22

子宮筋腫核出術(開腹)

11

10

13

2

2

11

帝王切開術

37

42

44

27

37

29

その他開腹手術

2

1

1

2

4

3

 

腹腔鏡手術

腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がん)

11

4

11

11

20

21

リンパ節郭清術(腹腔鏡)

4

1

1

5

7

6

腹腔鏡下子宮全摘術(良性腫瘍・前癌病変)

24

26

20

36

31

36

腹腔鏡下子宮筋腫核出術

29

15

13

19

14

16

腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術

37

38

37

31

39

60

腹腔鏡下付属器摘出術

32

34

36

47

43

50

異所性妊娠手術(腹腔鏡)

11

6

5

4

4

4

その他腹腔鏡手術

4

5

6

3

8

6

 

子宮鏡手術

子宮鏡下子宮筋腫摘出術

18

25

26

31

21

20

子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術

38

61

45

48

43

41

子宮内膜焼灼術(MEA)

3

1

3

1

0

3

その他子宮鏡手術

6

3

2

2

2

3

 

腟式手術

子宮頸部円錐切除術

42

39

57

88

82

66

レーザー蒸散術

22

25

35

31

16

21

子宮内膜全面掻爬術・子宮内容除去術

26

20

16

20

15

18

骨盤臓器脱手術

3

2

2

1

0

3

その他腟式手術

5

11

3

1

9

12

外陰部手術(外陰癌・バルトリン腺など)

0

2

2

0

1

4

悪性腫瘍統計(新規症例数)

 

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

子宮頸癌

9

9

13

9

8 9

子宮体癌(癌肉腫含む)

36

26

33

30

38

32

子宮肉腫

4

2

1

2

1

2

卵巣癌/卵管癌/腹膜癌

14

16

16

17

18

21

その他の悪性腫瘍

1

1

3

1

1

4

子宮頸部上皮内癌/異形成

61

48

80

101

84

84

子宮内膜異型増殖症

1

6

4

7

4

6

卵巣境界悪性腫瘍

2

4

2

4

8

5

周産期統計

2018年

2019年 

2020年

2021年

2022年

2023年

分娩数

129

137

160

140

112

140

単胎分娩数

128

135

159

139

111

139

双胎分娩数

1

2

1

1

1

1

出生児数

130

139

161

141

113

141

死産・新生児死亡

0

0

1

1

0

1

分娩様式(経腟)

92

95

116

113

75

111

分娩様式(帝王切開)

37

42

44

27

37

29

不妊治療(体外受精成績)

 

2018年

2019年

2020年

2021年

2022年

2023年

採卵周期数

46

46

40

48

45

34

新鮮胚移植周期数

1

2

6

16

8

3

凍結胚移植周期数

78

89

79

73

75

70

妊娠周期数

13

15

11

17

11

12

対胚移植妊娠率

16.5%

16.9%

12.9%

19.1%

13.3%

16.4%

多胎妊娠

0

0

1

0

0

0

多胎妊娠率

0.0%

0.0%

9.1%

0.0%

0.0%

0.0%

流産周期数

3

3

2

4

0

4

流産率

23.1%

20.0%

18.2%

23.5%

0.0%

33.3%

泌尿器科

我々、虎の門病院泌尿器科の得意としている分野は悪性疾患です。内視鏡治療、腹腔鏡治療、ロボット支援下手術といった低侵襲治療から他臓器合併切除を伴う拡大手術といった手術治療をお任せください。抗がん剤、免疫療法などの薬物治療、そして放射線治療を組み合わせた集学的治療も積極的に行なっております。ただ標準的なガイドラインに踏襲するだけでなく、何が患者さんにベストな治療なのか常に考え診療にあたっています。大学病院のように専門性の高い他の診療科と一般市中病院のように垣根の低い診療科同士の連携プレイが当院の特徴であり、それらを実践することが、患者さんはもちろん社会に対する責務だと考えています。

手術件数

代表的手術 2019年度 件数
(手術、処置)
1007(688、319)件
2020年度 件数
(手術、処置)
841(605、236)件

2021年度 件数
(手術、処置)
1282(961321)件

2022年度 件数
(手術、処置)
1210(737、473)件

2023年度 件数
(手術、処置)
1254(784470)件

副腎摘除 15(14) 17(17) 11(10) 17(16) 17(17)
腎摘除 45(31) 21(15) 24(21) 20(15) 17(11)
腎部分切除 26(23) 34(34) 36(36) 26(26) 43(43)
腎尿管全摘 14(12) 17(13) 23(17) 23(18) 17(13)
経尿道的膀胱腫瘍切除(TURBT) 132 165 139 155 144
膀胱全摘 7(4) 7(6) 9(9) 5(5) 13(13)
尿路変向(回腸導管、回腸新膀胱) 5、2 7、0 6、1 5、0 11、0
前立腺生検 251 222 280 268 245
前立腺全摘 48(30) 82(82) 99(98) 103(103) 122(122)
精巣摘除 4 12 7 9 4
後腹膜リンパ節郭清 2 1 0 3(1) 0
後腹膜腫瘍切除 2 3 2 5(2) 6(2)
前立腺肥大症手術(HoLEP、TUR-P) 52(18、34) 60(59、1) 86(82、4) 100(100、0) 97(96、1)
尿路結石手術(内視鏡手術、ESWL) 99(51、48) 132(82、50) 152(92、60) 162(114、48) 194(127、67)
尿管ステント留置、腎瘻造設 200、18 206、16 183、37 205、24 225、21
尿膜管摘除 4(1) 3(3) 2(1) 2(1) 1(0)

※()は腹腔鏡下手術数もしくはロボット支援下手術症例数

耳鼻咽喉科

手術治療実績(2015~2023年の手術件数)

領域 術式 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
鼓室形成術 44 42 25 20 15 13 16 22
人工内耳埋め込み術 19 29 29 33 17 35 32 34
アブミ骨手術 29 36 5 5 3 10 4 8
鼓膜形成術 0 5 3 3 1 0 1 0
鼓膜穿孔閉鎖術 0 0 0 0 0 0 5 1
鼓膜チューブ留置術 2 7 7 0 2 11 11 16
顔面神経減圧術 3 5 4 5 3 4 1 2
耳ろう孔摘出術 3 3 0 6 2 2 4 1
人工中耳・BAH埋め込み術 2 0 0 0 0 0 0 0
その他耳科手術 6 4 2 3 0 5 4 0
副鼻腔 副鼻腔内視鏡手術 65 52 60 48 36 28 45 62
鼻中隔矯正術 12 4 11 8 8 4 13 9
鼻甲介切除術 11 8 7 9 15 4 24 13
副鼻腔腫瘍摘出術 1 3 1 1 1 0 0 0
鼻粘膜焼灼術(下鼻甲介) 11 9 15 10 21 10 18 26
その他鼻科手術 3 3 2 4 8 7 10 4
喉頭 喉頭微細手術 19 16 12 16 9 11 11 12
喉頭全摘出術 0 1 1 0 0 0 0 0
その他喉頭手術 0 0 3 4 0 0 0 4
口腔・咽頭 口蓋扁桃摘出術 43 36 36 57 35 43 36 30
アデノイド切除 0 1 3 3 2 3 1 1
舌腫瘍切除術 7 2 2 2 3 1 1 6
中咽頭腫瘍摘出術 2 1 5 3 2 0 1 1
下咽頭腫瘍切除術 1 0 0 0 0 4 1 0
その他口腔咽頭手術 5 6 10 5 1 6 8 1
唾液腺 耳下腺腫瘍摘出術 16 7 13 12 9 7 10 8
顎下腺摘出術 5 5 4 6 6 7 2 0
その他唾液腺手術 1 0 0 0 0 0 0 4
頚部 甲状腺手術 20 12 20 10 23 19 25 34
副甲状腺手術 0 8 10 5 9 17 10 22
頚部郭清術 5 2 8 5 2 3 3 2
頚部リンパ節摘出術 26 46 34 24 21 15 23 25
気管切開術 8 10 15 12 11 5 13 26
正中頸のう胞・側頸のう胞摘出 0 3 1 5 1 2 0 0
その他頚部手術 10 13 8 8 2 10 2 7
合計   379 379 356 332 268 286 335 381

臨床腫瘍科

化学療法件数

臨床腫瘍科では、下図に示しますように、化学療法のほとんどを外来で行っております。2022年度には全体で6,000件超の化学療法を実施しましたが、そのうち、5,228件が外来での投与でした。この背景には、抗がん剤治療の副作用マネジメントが進歩したこと、複数職種や専門家によるチームでの対策が進歩したことなどが挙げられます。当院外来化学療法室では、20243月現在、37床のリクライニングシートとベッドで稼働しており、年間で約15,000件の化学療法を実施しております。

化学療法件数.png


治験件数

近年、がん薬物療法における新薬開発のスピードが加速しており、毎年の様に標準治療が更新される時代に突入しております。その結果、数年先に標準治療になる可能性のある薬剤が治験として実施される確率が増えてきました。そのため、我々は、標準治療を提供するだけでなく、治験というオプションも患者さんに提示できる様に、国際共同〜国内治験、企業治験から医師主導治験に至るまで、多くの治験を当科で実施しております。開発中の新薬を投与する際には、現在の標準治療を上回る効果が得られない可能性もありますし、未知の副作用が現れることもあります。我々は、がん薬物療法の専門家として、これらの新薬のマネジメントに慎重を期して取り組んでおります。

実施中の治験情報(2024年3月時点)
対象疾患 治験課題名 web link
膀胱癌 膀胱全摘除術に不適格である、又は膀胱全摘除術を選択しなかった、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)膀胱内注入療法に不応性の高リスク筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)患者を対象として、TAR-200Cetrelimabの併用、TAR-200単独、又はCetrelimab単独の有効性及び安全性を評価する第2b相臨床試験(SunRISe 1) https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2071200086
膀胱癌 膀胱全摘除術を受けていない筋層浸潤性膀胱尿路上皮癌(MIBC)患者を対象として、TAR-200とCetrelimabを併用したときの有効性を同時化学放射線療法と比較する第3相多施設共同、ランダム化試験(SunRISe 2) https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2071200088
膀胱癌 日本人のBCG不応性高グレード筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)患者に対するFE 999326の膀胱内注入療法における安全性及び有効性を評価する第相オープン試験(000381試験) https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2053220142
膀胱癌 シスプラチン不適応又はシスプラチンを拒否した筋層浸潤性膀胱癌患者を対象とした膀胱全摘除術と周術期のペムブロリズマブ及び膀胱全摘除術と周術期のエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブを膀胱全摘除術単独と比較する無作為化第Ⅲ相試験(KEYNOTE-905/EV-303試験) https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220686
食道癌 進行固形がん患者を対象としたAB122プラットフォーム試験(AB122AB154TAS-120 https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jrct2011210020
乳癌 転移性 HER2 陽性乳癌の維持療法としてtucatinib又はプラセボをトラスツズマブ及びペルツズマブと併用する無作為化、二重盲検、第3相試験(HER2CLIMB-05 https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2011220007

乳癌
末梢神経障害

パクリタキセル毎週投与を受ける乳がん患者を対象としたONO-2910 の化学療法誘発末梢神経障害(CIPN)発症抑制効果及び安全性を検討する前期第相多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(ONO-2910-03 https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031230173

緩和医療科(がんの痛み外来)

実績(主たる相談内容)

のべ件数 痛み 体のつらさ
痛み以外
気持ちの
つらさ
その他
2016年度 218 140 50 24 4
2017年度 200 120 64 16 0
2018年度 197 128 46 22 1
2019年度 175 121 43 9 2
2020年度 267 183 82 40 27
2021年度 372 247 117 46 10
2022年度 435 314 113 63 18
2023年度 534 412 130 53 13

(相談内容は重複あり)

集中治療科

歯科

1.年度別外来患者数

 2020年度はコロナ感染症拡大による診療制限などの影響で、例年より延べ患者数は2割程度減少しましたが、2021年度以降は回復傾向を示し、年間延べ35,000人前後の患者数で推移しています。すなわち、1日当たり約140人の患者さんに受診いただいています。

 年度 

 延べ患者数 

2016年度

39,047人

2017年度

40,553人

2018年度

39,974人

2019年度

36,972人

2020年度

31,396人

2021年度

35,093人

2022年度

35,419人

2.2022年度の他科から歯科への検診依頼数ならびに周術期等口腔機能管理件数

 2022年度の当院他科から歯科への検診依頼件数は前年度比112%の1827件でした。そのうち、周術期関連(手術前、化学療法、放射線療法)の依頼件数は889件で、残り938件が一般の検診依頼でした。
 依頼が最も依頼が多かったのは、造血幹細胞移植など口腔管理が治療成績に大きく影響してくる血液内科、次いで食道がん手術のように口腔機能の低下が術後の予後に影響することが明らかになっている消化器外科、術前の歯科受診を積極的に勧めていただいた乳腺内分泌外科、化学療法に伴う口腔内トラブルの多い臨床腫瘍科などの順になっています。
 腎センターからのステロイド治療に併用される骨粗しょう症薬開始前の歯科検診や、骨折リエゾンチームなどで連携している整形外科からの依頼なども増加してきています。

2022年度診療科別検診依頼件数 歯科.png

3.睡眠時無呼吸症候群に対するマウスピース作製件数

 2022年度に作製した睡眠時無呼吸症用のマウスピースは、保険適用で上下一体型のモノブロックタイプのものが120件、保険適用外のソムノデントが54件、計174件でした。2020年度以降増加傾向を示しています。

睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置(マウスピース)の作製件数

モノブロックタイプ
(保険適応)

ソムノデント
(保険外診療)

  合計  

2020年度

103件

30件

133件

2021年度

120件

30件

150件

2022年度

120件

54件

174件

麻酔科

手術麻酔は、あくまで外科手術に伴い施行されるものです。しかし、麻酔と一言でいっても、実はその内容は多岐にわたります。全身麻酔というものの中にも、様々な選択肢があります。したがって、手術内容の特殊性や、患者の状態により、最適な麻酔法が選択されるよう心がけています。

当院で麻酔科医が関与した症例のうち94%の症例は全身麻酔によるものです。これは、手術内容(術式)が比較的大きな手術が多いことや、全身麻酔の安全性の高まりによるものと考えます。

麻酔科グラフ.png

放射線診断科

2023年度においては、本院、分院、画像診断センター、健康管理センターで行われた画像検査のうち、放射線診断科では以下の件数の読影を行いました。

読影件数 (2023年度)

本院
単純写真 43
乳腺撮影 9
職員健診 1,815
CT 42,242
MRI 17,746
血管造影/IVR 214
画像診断センター
CT 240
MRI 759
健康管理センター(ドック)
単純写真 7,804
CT 1,381
分院
単純写真 5
職員健診 561
CT 8,687
MRI 2,757
外部CT/MRI 51
血管造影/IVR 4
84,318

救急科

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
救急搬送患者数 6,315 6,316 6,447 6,956 6,641
総患者数 11,261 10,289 10,043 10,657 10,509
救急搬送後入院割合 22.0% 28.0% 30.8% 33.0% 31.1%

er2023-1.jpg
er2023-2.jpg
er2023-3.jpg

出典:救急委員会資料

病理診断科

2023年(1月~12月)の検査件数

検査 2023年
細胞診断 13,331件/年
組織診断 19,130件/年
術中迅速診断 1,364件/年
電子顕微鏡検査 379件/年
免疫組織検査 4,861件/年
遺伝子検査 1,831件/年
病理解剖 20件/年

老年内科

実績:2023年度
新規患者数38名、延患者数250名

老年内科実績2023.png

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