重点医療 肝疾患

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治療と情報提供で
患者さんの明日をつくる

東京都肝疾患診療連携拠点病院

肝疾患診療拠点病院とは、肝疾患に関する情報提供、肝炎患者さんやご家族への相談支援、医療従事者への研修等の機能を備える医療機関で、全国の都道府県で整備することとされています。東京都では2011年4月に虎の門病院と、武蔵野赤十字病院の2施設が指定されました。拠点病院内に「肝疾患相談センター」を設置し、患者さんや地域住民、医療従事者を対象とした講習会・研修会の開催、また肝疾患に関する総合的な相談支援を行います。

虎の門病院の肝疾患治療

肝臓は、体内で代謝や解毒にかかわる大切な臓器であり、高い専門性が求められる分野です。当院では肝疾患に特化した診療科として、本院・分院それぞれに肝臓内科を有し、様々な種類の肝疾患に対応してまいりました。また、臨床研究や新薬開発のための治験にも積極的に取り組んでいます。診療においては、外科・内科の垣根のない連携で、診断から治療まで迅速な対応を行い、本院にある「肝疾患相談センター」との協力体制のもと、肝疾患に関する情報提供も併せて行っています。

迅速な
治療をめざして
肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように、肝疾患の疑いがあればできるだけ早く診断し、治療方針を立てることが大切です。当院の肝臓内科の大きな特徴は、消化器外科と一体化して診療を行っていることです。検査から治療までスピーディーかつスムーズに行うことができ、治療成績の向上はもとより、患者さんの入院日数が短縮することで負担も軽減されます。また、内科・外科間のカンファレンスも定期的に行い、多角的な知見を取り入れることで、迅速に治療を開始できるよう努めています。
肝疾患の多くは慢性的な経過をたどるため、患者さんは病気と長いつき合いとなりますが、当院では、1人の主治医が10年、20年と同じ患者さんを担当し、経過を診ていくケースも少なくありません。
対象疾患
肝疾患には、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がんなどがあり、その原因もウイルス、アルコール、栄養、免疫など様々です。肝臓内科ではこれら肝疾患の診療を行っています。B型・C型肝炎ウイルスによる急性肝炎および慢性肝炎、肝硬変、肝がんの患者さんを多数診療しており、最近では非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者さんの増加を受けて、肥満・メタボリック症候群とつながる肝疾患の診療にも力を入れています。

病床数(本院・分院共通)

肝臓内科は消化器内科の肝臓グループとして分院においてスタートし、1990年代後半に肝臓内科と名を変え、本院肝臓内科、分院肝臓内科となりました。現在、本院・分院は同じ機能を有し、どちらでも同等の診療を受けることができます。また、分院のスタッフは週に1回または2回、本院に来て外来を担当するなど、両院間の交流は活発に行われています。2024年3月現在、病床数は本院30床、分院29床です。

病床数2024年3月現在

本院 分院
病床数 30床 29床

症例数

肝臓内科は、近年は特にウイルス性肝炎の治療の進展に貢献し、B型肝炎では核酸アナログ製剤を主体とした治療で、C型肝炎では3剤併用療法、または内服薬のみの治療を行なってきました。また、難治性の肝疾患の治療や、肝病変の進行抑制、肝がんの抑制にも取り組んでいます。これまでに肝臓センターで診療し登録されている患者数は、B型肝炎7,974例、C型肝炎12,222例、その他肝疾患8,796例です。

登録患者数2024年3月現在

  • B型肝炎

    7,974

  • C型肝炎

    12,222

  • その他肝疾患

    8,796

肝疾患の臨床研究

当院の肝臓内科は研究室を持ち、豊富なデータをもとに活発な研究活動を行っています。学会、論文等で発表し、世界的な肝臓専門誌である米肝臓病学会誌「ヘパトロジー(Hepatology)」に過去9年連続して論文が掲載されました。また、肝疾患領域の新薬の治験も行っており、様々な肝炎の治療を当科で導入しています。

肝疾患領域では近年、C型肝炎の治療が格段に進歩し、ウイルス性肝炎の臨床は減ってきました。その一方で、生活習慣病としての肝臓病である脂肪肝が増えています。脂肪肝にはアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝(NASH)の2つに分けられますが、病気の成り立ちについてはいまだ解明されていない部分が多いのが現状です。この脂肪肝をはじめ、B型肝炎、自己免疫性肝疾患のように診断・治療の難しい肝疾患は依然として数多く存在しています。今後はこれらの研究をいっそう進め、肝疾患診療に貢献していきたいと考えております。

これまでの治療実績は、B型慢性肝疾患でインターフェロン 1,549例、核酸アナログ 4,151例、C型慢性疾患でインターフェロン総数(プロテアーゼ阻害剤併用を含む)11,438例、2014年以降のインターフェロンフリーDAAs内服治療 2,827例です。
肝がん治療では、最近の主治療である分子標的薬の治療も積極的に行っており、今までに外科的肝切除 1,665例、ラジオ波凝固術(RFA) 3,756例、肝動脈塞栓術(TACE) 2,664例、抗がん剤治療(分子標的薬治療を含む) 171例など各患者さんの状態に適した集学的な治療を行っています。
当科では、臨床医が主導となる治験にも参加し、臨床治験を通して新たな薬剤や治療法を模索しています。一方で、国立研究開発法人 日本研究開発機構(AMED)の研究班においては、臨床に即した研究も行っています。また東京都肝炎拠点病院・治験拠点医療機関・地域がん診療連携拠点病院としての役割も担っていきます。

肝疾患相談センター

東京都肝疾患診療連携拠点病院に指定されている当院では、本院に「肝疾患相談センター」を開設し、肝疾患の患者さんやそのご家族、医療従事者の方々へ情報提供を行っています。内容は、ウィルス性肝疾患を中心とした肝疾患の検査・診断・治療に関する一般的な情報のほか、医療費助成制度、医療訴訟、日常生活の留意点など、多岐にわたります。相談窓口では、専従の看護師、事務員が対応し、内容に応じて担当スタッフ(要予約)がお答えします。
また、患者さんを対象にした市民公開講座や、肝臓病教室、医療従事者に向けた研修会を開催しています。肝疾患について理解を深めていただくために、多くの皆様のご参加をお待ちしております。

市民公開講座と肝臓病教室について
市民公開講座は都内の一般ホールにて、肝臓病教室は院内の講堂にて開催しています。肝臓の基礎知識から肝疾患の診断や治療、食事療法や運動療法など、毎回テーマを変えて、当院の肝臓内科医や管理栄養士等が分かりやすくお話しいたします。
・当院にかかっている患者さんだけでなく、一般の方もご参加いただけます。
・開催日程は肝疾患相談センターのホームページをご確認ください。
肝疾患相談センター

TEL:03-3560-7672(直通)

相談時間 平日(月~金曜日)9:30~16:00
(日・祝日、年末年始12月29日~1月3日、開院記念日5月20日は除きます。)

※ご相談は無料です。
※FAX、メールでのお問い合わせは受け付けておりません。
※個人のデータに基づく診療はいたしません。
※個人情報は、厳重に管理し、学会等で公表する場合は個人が特定できないような形で使用いたします。

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