呼吸器センター外科
このページを印刷
このページを印刷
1999年~2023年までの25年間に呼吸器センター外科では、10,026件の胸部疾患に対する手術を行い、うち9,455件(全体の94.3%)は3-port(3か所の創)胸腔鏡下手術のみで行った手術でした。最近の14年間では、1年間の手術件数と胸腔鏡下手術の割合がさらに増加し、14年間で6,607件の胸部疾患に対する手術を行い、うち6,494件(全体の98.3%)が胸腔鏡下手術のみで行った手術でした。当科では2008年以降は、1年間に行う約400~550件の胸部疾患の総手術のうち、97%以上の胸腔鏡下手術の施行率を継続しております。また、最初から最後まで胸腔鏡下手術のみで行う割合(完遂率)も、最近12年間では99.7%(開胸移行率が0.3%以下)でありました。これらの長い期間での当科での実績により、上記の様々な疾患に対しても胸腔鏡下手術の適応を徐々に拡大し、安全かつ的確に手術を行っておりますので、いつでもご相談して頂けると思います。我々にとって胸腔鏡下手術は一般的で常に行っている手術であり、現在はロボット手術(ダビンチ手術など)との共存(ロボット支援胸腔鏡手術)も、保険適応症例に対しては行っており2024年3月までに94件施行しております。当科でのロボット手術の特徴は、ロボット手術でも創部数が胸腔鏡下手術と同様に3ヵ所のみであることです。
2023年1月~12月の1年間での虎の門病院呼吸器センター外科での全身麻酔の手術件数は495件(2020年は400件,2021年は416件,2022年は433件)と、2019年からのコロナ流行下でも豊富な手術件数を維持しながら、更にコロナ流行の改善と共に様々なクリニック、病院、大学より紹介を頂き、最近4年間では特に手術件数は増加傾向です。うち3-port(3か所の創で行う)胸腔鏡下手術(含ロボット支援胸腔鏡下手術)で行った手術は488件(全手術の98.6%)と大半を占め、胸腔鏡下手術の完遂率(最初から最後まで胸腔鏡下手術で問題なく完遂した手術率)は99.8%でした。また両側肺疾患に対する両側同時一期的胸腔鏡下手術症例は43例(8.7%)、ダビンチ支援胸腔鏡下手術は21件(4.3%)でした。疾患別手術件数は、原発性肺癌・肺悪性腫瘍は247件、転移性肺腫瘍は78件、胸腺腫などの縦隔腫瘍(含:重症筋無力症の手術)は48件、膿胸を含む感染症などの炎症性肺疾患は59件、気胸・嚢胞性肺疾患は43件などと、どの疾患の手術をとっても全国でも有数の症例を有しています。
当科の特徴としては、人間ドックで発見された特に合併疾患のない方の早期の肺癌から、癌の専門病院では十分に診療できない、透析中、心血管疾患治療中、間質性肺炎やぜんそく、肝障害など他の全身疾患治療中などの困難症例の肺癌手術など、さまざまな患者さんの肺癌手術に対応しているという点です。これは97%以上の手術を低侵襲の胸腔鏡下手術で行っているという点と、総合病院の特徴を生かして、専門の他科と良好な連携を取っているからです。また最近では、非常に小さい腫瘍や、多発する両側肺腫瘍に対しても、術中自走式CTを併用することで、前処置やそれに伴う合併症なく、より低侵襲な手術を実現しています。外来初診時から約7~14日で手術が可能であり、手術後順調に経過すると、肺癌の標準的な治療である肺葉切除術と系統的リンパ節郭清を胸腔鏡下手術で行い術後3~6日で、縦隔腫瘍手術は術後2~3日で退院し社会復帰することができます。
胸腔鏡下手術中の術野写真(3か所の創部で3mm細径鉗子等を使用した手術)
術後の創部写真(下部の創はその創より肺や病変を袋に入れ摘出するため病気の大きさ(肺葉切除の場合は2~3.5cm程度)により異なります)