新しい低侵襲脊椎手術 FESS FED
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脊椎内視鏡手術 脊椎手術のさらなる低侵襲化へ 早期の社会復帰を目指します
FESSとは「Full-Endoscopic Spine Surgery」の略で、『完全内視鏡下脊椎手術』を指します。この手術では、直径7mmの外筒を使用して行われ、現在の脊椎手術の中では最も侵襲が少ない方法です。小さい皮膚切開で手術を行うため、術後の疼痛が少なく回復が早いとされており、手術翌日の退院も可能です。
FEDとは「Full-Endoscopic Discectomy」の略で、『完全内視鏡下椎間板摘出術』と呼ばれます。これはFESSの手技を用いて椎間板ヘルニアを摘出する手術です。
MEDとは「Micro Endoscopic Discectomy」の略で、『内視鏡下椎間板摘出術』を指します。これは内視鏡を使用して椎間板ヘルニアを摘出する手術で、日本で侵襲の少ない治療としては最もスタンダードな術式です。
図1. FESSに使用する手術機器
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は、背骨の骨と骨の間に位置するクッションのような構造で、これにより背骨がしなやかに動くことが可能になります。椎間板ヘルニアは、椎間板の内部にある髄核の一部が椎間板の外に飛び出し、周囲の神経を圧迫することによって、殿部や足に痛みやしびれなどの症状を引き起こす病気です。
図2では左側が正常な状態を示し、右側がヘルニアの状態を示しています。ヘルニアの状態では、椎間板の髄核の一部が飛び出し、神経を圧迫している様子がわかります。
図2. 腰椎椎間板ヘルニア
現在、虎の門病院脊椎センターで行っている腰椎椎間板ヘルニアの手術は、大きく分けて2つあります。内視鏡を利用してヘルニアを摘出し、神経の圧迫を取り除くFED(Full-Endoscopic Discectomy)とMED(Micro Endoscopic Discectomy)です(図3)。いずれの方法も、体に負担が少ない低侵襲な治療法です。
虎の門病院脊椎センターでは、従来MEDを行っておりましたが、最近ではさらに侵襲の少ないFEDも2023年より取り入れています。現在では、患者さん個々のヘルニアの状態に応じて従来のMEDと新たに導入したFEDを使い分けて手術を行っています。今後は、さらにFEDの適応範囲を広げていくことを予定しています。
図3. 腰椎椎間板ヘルニアに対する手術方法
FED | MED | オープン法 | |
---|---|---|---|
麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
傷口 | 8〜10mm | 18〜20mm | 30〜50mm |
術後歩行可能時期 | 手術当日 | 手術当日 | 手術翌日以降 |
入院日数 | 3〜5日 | 4〜6日 | 7〜10日 |