食道がん治療センター
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転移とは、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器に移動し、そこで増大することです。
食道がんを外科的にすべて切除したとしても、その時点で、既にがん細胞が別の臓器に移動している可能性もあります。
手術の段階で見つけられなかったがん細胞が、時間が経過してから転移として見つかることがあります。
食道がんの転移で多いのは、リンパ節、肺、肝臓などの臓器や、骨への転移であります。
食道がんが再発したときの症状は、転移部位によって異なります。
肺や気管に転移した場合、長く続く咳や血痰、胸部の痛みなどが起こります。
肝臓へ転移した場合には、腹部の張り等を感じることがあります。
また、骨へ転移した場合には、その転移した部位周辺に痛みを感じます。
さらに、食道周囲の神経にがん細胞が浸潤すると、嗄声といい、声がかすれる症状がみられます。
もちろん、これらの症状が必ず現れるわけではありませんが、自覚症状を感じるときには、がんが進行している可能性が高いです。
再発とは、食道がんを治療により目視できない大きさまで縮小させたのちに、再びがん細胞が出現することをいいます。
最初の治療で完全に縮小、消失したように見えても、わずかに残っていたがん細胞が増殖して症状があらわれる、検査で発見されるようになった状態です。
再発した場合には、化学療法を行なうことが一般的です。
日本の食道がん根治手術後の再発は30~50%に認められ,欧米諸国の報告では50%以上の再発が報告されています。
再発の形式は,リンパ節、局所再発が20~70%に、遠隔臓器転移が10~50%に生じ、両者が複合した再発も7~27%にみられています。
リンパ節再発の中では頸部、上縦隔の再発が多く、遠隔臓器再発では肺、肝、骨、脳の順に多いとされています。
食道がん根治切除後に再発した場合の生存率は極めて低く、再発診断時からの生存期間は5~10カ月と言われていますが、長期生存または完治する症例が少なからずあることも報告されています。
食道がんの再発の多くは、初回の治療から1年以内に発見されるといわれています。
この間は特に注意して定期的に通院し、検査を受けることが重要です。
年数が経過するにつれて再発の可能性は低くなっていきます。
治療後の定期受診は重要です。
術後3年間は、3~6ヶ月毎に、術後3~5年は半年ごとに、CT検査、腹部エコー、腫瘍マーカー、内視鏡検査等を受けることが望ましいとされています。
また、気になる症状が現れた時はすぐに医療機関を受診することをお勧めいたします。
お問い合わせ、ご相談等は以下フォームより受け付けております。
当院で食道がん手術を受けた方の生存率は下記の通りです。
当院の成績と、全国集計の成績を記載しております。
ただし、生存率は統計を取った時期によって変化するものであり、近年の当院での生存率が以前の全国集計より高いことが当院の優位性を示すものではありません。
食道がんStage | 0 | I | II | III | IVA | IVB |
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当院 (5年生存率) | 94.1% | 92.5% | 83.8% | 70.8% | 38.3% | 32.1% |
全国集計※ (5年生存率) | 88.6% | 76.8% | 62.7% | 41.2% | 22.6% | 20.0% |
引用: Yuji Tachimori, et al.; The Registration Committee for Esophageal Cancer of the Japan Esophageal Society: Comprehensive Registry of Esophageal Cancer in Japan, 2009, Esophagus. 2016: 13: 110-37.