放射線科
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虎の門病院の放射線科は、注射などで放射線を出す薬である放射性医薬品を体内に直接入れて診断・治療を行う診療科です。放射性医薬品には放射性同位元素(ほうしゃせいどういげんそ Radioisotope)が含まれています。ただし、診断にはからだに留まる時間が短く、被ばくによる副作用の心配がいらないものが使われています。また、治療を行う場合も十分に安全性が確保されています。こうした診断・治療は一般に、核医学(かくいがく Nuclear Medicine)という言葉で総称されます。陽電子断層撮影(ようでんしだんそうさつえい Positron Emission Tomography)、いわゆるPETも核医学の仲間で、エネルギーの高い放射線を用いるため特別な管理は必要ですが、精細な画像が得られ、他の方法では見つけにくい病気・病態を映し出すことができます。がん検診にも使われます。
近年では、放射性同位元素を用いて、分子レベルで病巣の診断から治療までを一気に行うセラノスティクスという医療技術が確立されつつあります。当科は、こうした最先端の医療技術に、今後もキャッチアップを続けていきます。
設備としてはPET2台(うち1台は画像診断センター)、SPECT3台、取り扱う検査・治療は約45種あります。
PET検査の代表格であるFDG-PET/CT検査では、悪性腫瘍の病期診断、転移再発診断、治療効果判定、大型血管炎や心サルコイドーシスなどの炎症性疾患の活動性評価を行うことができます。また、2023年から保険適用が認められたアミロイドPET検査は、アルツハイマー病の疾患治療薬レカネマブが使用できるかどうかを判断するための画期的な検査です。なお、PETの放射性薬剤FDGは全てデリバリー(配送)ですが、デリバリー薬剤を用いた施設としてはトップクラスの使用実績、診断実績を持っています。
その他の核医学検査としては、虚血性心疾患、脳血管障害やパーキンソン病などの脳神経疾患、アルツハイマー病やレビー小体型認知症などの認知症、甲状腺・副甲状腺、副腎皮質・副腎髄質などの内分泌疾患、腎疾患、肺血流・換気、肝アシアロ糖蛋白受容体、ソマトスタチン受容体、センチネルリンパ節、消化管出血源の評価などを行っています。心臓と脳の検査が多いのが特徴です。
核医学治療としては、去勢抵抗性前立腺癌の骨転移に対するRa-223治療、甲状腺疾患(バセドウ病など)に対するI-131治療を行っています。