放射線治療科

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メッセージ

体にもライフスタイルにもやさしい放射線治療を提供しています

私たちは、放射線治療を必要とする全ての患者さんに対し、高精度の放射線治療と体に負担の少ないやさしい医療の提供をめざしています。
近年、放射線治療の技術進歩はめざましく、当院でもがんに放射線を集中し周辺の正常臓器へのダメージを極力抑える強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療を行っています。
放射線治療では治療の計画と照射の技術の融合が大切であり、適切な治療が提供できるようスタッフ一同日々研鑽しております。

1. 仕事と両立できる放射線治療

放射線治療はがんの治癒を目指すとともに痛みなどの症状を和らげる目的で行われます。
治療は平日毎日行うため、通院しやすいことがとても大切です。
虎の門病院は職場からアクセスしやすい虎ノ門という立地に加えて、出勤前後の時間を有効にご活用いただけるよう、朝夕の時間帯にも治療を行っています。
およその病院の滞在時間は30分程度です。


【治療時間】月~金 8:30~12:00、13:30~19:30(最終受付時間19:10)


2. 治療回数の少ない放射線治療

通院の負担を軽減するために、治療回数の少ない放射線治療を行っています。
治療回数や副作用などていねいな説明をした後、患者さんのご希望に合わせて適切な治療を提案します。

乳がん 16回(約3週)、25回(5週)
前立腺がん 5回(2週)、20回(4週)

※ 治療回数と( )内は通院する期間

3. 高精度の放射線治療

腫瘍に正確に放射線を集中し、正常組織へのダメージを極力抑える高精度な放射線治療を実施しています。
トモセラピーとCT同室設置リニアックを用いて行う、強度変調放射線治療(IMRT)や体幹部定位放射線治療などの手法があります。
また、左乳がんでは心臓の負担を減らす深吸気息止め照射を行っています。

4. がん以外の病気も抱える患者さんへのやさしい放射線治療

医療の進歩に伴いがん以外の病気を抱えている患者さんが増えています。
たとえば、ペースメーカーや埋め込み型除細動器を使用している患者さんが増加しています。このような患者さんが放射線治療をうけた場合、まれにペースメーカー等が誤作動を起こすことがあります。
また、人工透析を行っている患者さんでは、透析をする日も放射線治療をしなければなりません。
このような患者さんも虎の門病院なら安心です。
虎の門病院は総合病院の強みを活かし、関連する診療科と密接に連携しながら治療を行います。

5. 放射線治療の「おもて」と「うら」

公開講座「みんなで学ぼう虎の門がんセミナー」第11回の映像です。
※外部サイトに移動します。

放射線治療のおもて
放射線治療のうら

扱う疾患

虎の門病院では、乳がん、前立腺がん、食道がん、肺がん、直腸がん、悪性リンパ腫など多くのがんに対して、担当科と連携して放射線治療を行っています。

乳がん

乳がんの手術後に乳房やその周辺に放射線治療を行う場合があります。
治療回数は5週間で25回または約3週間で16回行います。
手術の状態によっては4~5回程度の追加照射を行う場合があります。
治療回数や副作用の違いを説明し、患者さんの希望に合わせて適切な治療を提案します。

また、左乳がんでは、心臓の負担を減らすため「深吸気息止め照射」を行っています。
この治療では深く息を吸い呼吸を止めた状態(約20秒)で放射線を照射することで、心臓にあたる放射線が減少し将来の心臓の副作用を軽減します。

前立腺がん

虎の門病院では、骨などに転移のない前立腺がんに対し、
2週間で5回照射する体幹部定位放射線治療(超寡分割照射)と4週間で20回照射する強度変調放射線治療(IMRT)を行っています。

治療回数や副作用の違いを説明し、患者さんの希望にあわせて適切な治療を提案します。
また、前立腺がんの手術後にPSAが上昇した場合に、前立腺のあった部分に25~35回(5~7週)の放射線治療を行っています。

虎の門病院では前立腺がんの放射線治療を行う際に、前立腺内に金マーカーを、前立腺と直腸の間にスペーサーの挿入を推奨しています。
金マーカーを使用すると、より正確に前立腺に放射線を照射し、直腸や膀胱にあたる放射線を減らすことができます。
また、スペーサーを挿入することで直腸が前立腺から離れるため、直腸に放射線があたることによるダメージが減少し、直腸出血などの副作用が少なくなります。
特に5回の治療では、スペーサーの挿入により直腸の副作用を大きく減らすことができます。
スペーサーは治療後半年程度で吸収されてなくなります。

公開講座「みんなで学ぼう虎の門がんセミナー」
第16回 前立腺がん治療(放射線治療編)
※外部サイトに移動します。

放射線治療の費用

当院の放射線治療には健康保険が適用されます。
一般の方は3割負担です。
75歳以上の方は収入に応じて負担割合が変わります。
高額療養費制度も利用できます。

おもな放射線治療の費用の総額(令和6年4月改訂)
乳がん 放射線治療の内容 3割負担の場合
乳房温存術後  乳房照射(25回) 16~19万円
 乳房照射(16回) 14~16万円
乳房切除術後  胸部と鎖骨周辺の照射(25回) 16~24万円

前立腺がん 放射線治療の内容 3割負担の場合
根治照射  SBRT(5回) 約19万円
 IMRT(20回) 約32万円
前立腺全摘術後の照射  IMRT(25-35回)       30~40万円

※ SBRT:体幹部定位放射線治療、IMRT:強度変調放射線治療
上記の他、初診料、再診料、検査料、薬代等が必要になることがあります。

当院で放射線治療を希望する方へ

乳がんと前立腺がん

乳がんの手術後の乳房照射、転移のない前立腺がんに対する放射線治療については、現在おかかりの医療機関からお電話でご予約をお願いします。
診療に必要な資料の確認が必要なため、患者さんからの直接のご予約は受け付けておりません。
担当は患者支援部 医療連携室になります。

具体的な手続きは 地域の診療所・クリニックの先生へを参照して下さい。

乳がんと前立腺がん以外のがん

乳がんと前立腺がん以外のがんの放射線治療については、放射線治療科では直接受付しておりません。当院の各担当科にご相談ください。
担当科の予約についてはがん相談支援センターにご相談下さい。

核医学治療について

核医学治療についてはこちらをご参照ください。

放射線治療に関するセカンドオピニオン

受診の際には現在の状況を確認するために、紹介状や画像検査・病理検査のレポートなどが必要になります。
セカンドオピニオンの手続きは セカンドオピニオン をご参照ください。

診療体制

放射線腫瘍医4名、診療放射線技師13名、医学物理士3名、看護師5名、事務1名で診療を行っています。

認定資格等

日本医学放射線学会 放射線治療専門医 小塚拓洋、冨永理人
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 小塚拓洋
放射線治療専門放射線技師 栗田勲、神山直也、和田雄暉
放射線治療品質管理士 栗田勲
医学物理士 佐藤周之、鈴木健太郎、臺洋平

院内の他の診療部門との連携について

ペースメーカーや埋め込み型除細動器を使用している患者さんが放射線治療をうける場合、まれにこれらの装置が誤作動を起こすことがあります。
当院では、循環器センター内科、臨床工学部と連携して、安全を確認しながら放射線治療を行っています。

人工透析を行っている患者さんは、透析をする日も放射線治療をしなければなりません。
そのため、透析する病院と放射線治療を行う病院が異なると患者さんの負担が大きくなります。
当院では腎センター内科と連携して、人工透析と放射線治療のスケジュールを調整して放射線治療を行っています。

他病院との連携について

密封小線源治療が必要な患者さん(子宮頸がんなど)に対しては、主に以下の病院と連携して治療を行っています。

  • 国立がん研究センター中央病院 放射線治療科
  • 東京大学医学部附属病院 放射線科

治療装置と特徴

TrueBeam(トゥルービーム): バリアン社 リニアック

この高精度放射線治療装置は、強度変調放射線治療(IMRT *1)、脳の定位放射線治療(SRT *2)、体幹部定位放射線治療(SBRT *3)を行うことが可能です。
さらに、多発脳転移の治療ではHyperArc(ハイパーアーク)を使用することで、15~30分程度の短時間で複数の脳転移に対して同時に定位放射線治療を実施できます。
体表面モニターも搭載されており、左乳がん治療における深吸気息止め照射により、安全で効果的な治療が可能です。

Radixact(ラディザクト): アキュレイ社 トモセラピー

この装置は強度変調放射線治療(IMRT *1)専用であり、前立腺がんなどの治療に広く用いられています。
特に、照射範囲が頭から脚の方向にかけて長い場合にはトモセラピーが優れた性能を発揮します。
当院では骨髄移植に伴う全身照射もトモセラピーを活用して実施しています。
この装置では、全身に均一に放射線を照射することが可能であるほか、肺や腎臓など特定の臓器への放射線量を抑えることができます。
このような線量調整により、従来の方法と比べて副作用の軽減につながります。

Elekta Synergy (エレクタ シナジー): エレクタ社 リニアック

この高精度放射線治療装置は、強度変調放射線治療(IMRT *1)や体幹部定位放射線治療(SBRT *3)を行うことが可能です。
この治療装置の最大の特徴は、通常の放射線治療装置に搭載されている簡易的なCTに加え、画質が非常に鮮明な診断用CTを利用できる点です。
診断用CTを用いることで、淡く小さい早期の肺がんでも正確に確認し、定位放射線治療を行うことが可能です。
また、体表面モニターが搭載されており、左乳がん治療では深吸気息止め照射を使用することで、安全で効果的な治療を提供します。

用語の説明

*1 IMRTはがんに放射線を集中させ、がん周囲の正常な臓器への影響を従来の方法より軽減できる放射線治療です。
一人ひとりの患者さんに合わせたオーダーメイドの治療を行うことで、身体への負担を最小限に抑えることが可能です。

*2 脳の定位放射線治療は、がんの脳転移などの小さな病変に対して、精密に放射線を照射する治療法です。
この方法により、がん細胞に効果的に放射線を集中させる一方で、周囲の正常な脳組織への影響を最小限に抑えることができます。

*3 体幹部定位放射線治療は、肺、肝臓、脊椎、前立腺などの体幹部にある小さな病変に対して、精密に放射線を照射する治療法です。
この方法により、がん細胞に効率よく放射線を集中させつつ、周囲の正常な臓器や組織への影響を最小限に抑えることが可能です。

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