血液内科

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移植後長期フォローアップ外来について

移植後長期フォローアップとは
移植後長期フォローアップ(LTFU: Long-term follow up)外来は、長期にわたって患者さんの生活の質(QOL: Quality of life)が維持されるように、医師・看護師・メディカルスタッフが連携して、長期的かつ総合的なサポートを行う場所です。慢性移植片対宿主病(GVHD: Graft-versus-host disease)や感染症、 生活習慣病、骨合併症、二次がんなど、多岐にわたる移植後合併症を、患者さん及びご家族と共に予防し、早期に発見し、治療につなげていくことを目標としています。

当院の移植後LTFU外来は、2010年4月に開設されましたが、開設以前に移植をされた患者さんにも受診の機会を提供しており、現在では1年間に延べ700人以上の方が受診されています。開設当初は、LTFU専任の医師と看護師・認定移植コーディネーターが一緒に診療を行っていましたが、現在では、移植後の時期や各患者さんの問題点・必要度に応じた診療を可能とするため、定期スクリーニングや予防接種を行う移植後LTFU・予防接種外来と、看護指導・日常生活サポートを行う移植後看護外来の二本立てとなっています。また、患者さんの負担を減らせるように、なるべく血液内科主治医の外来と同じ日に受診できるように調整を行っています。薬剤師や栄養士、各科専門医(眼科・皮膚科・歯科・リプロダクション外来など)や近隣クリニックとも密に連携をとり、包括的な診療・支援・指導に努めています。

直近5年の受診患者数(含む予防接種)

年度 延べ患者数(人)
2017年度 810
2018年度 899
2019年度 837
2020年度 622
2021年度 703



1.対象

虎の門病院で移植後フォローされている患者さんとその家族です。ただし、他院で移植された患者さんで転居などの理由で、当院血液内科でフォローを開始された方も受診可能です。

2.外来日

移植後
LTFU・予防接種外来

毎週月曜/木曜日午前・午後

移植後
看護外来

毎週月曜/木曜日午後*2枠(2部屋)同時進行で行っています

▲移植後LTFU・予防接種外来

多岐にわたる移植後合併症を、患者さん及びご家族と共に予防し、早期に発見し、治療につなげていくことを目標としています。

▲移植後看護外来

慢性GVHDのセルフケアや感染症対策などの指導から、食事や運動などの患者さんの生活スタイルの支援を行っています。

3.担当スタッフ

血液内科医師3名

看護師 12名

認定移植コーディネーター 1名

▶LTFUを担当する医師、看護師、認定移植コーディネーター及び血液・移植病棟の看護師長で、月1回の合同カンファレンスを実施しています。

4.フォローアップスケジュール

移植後LTFU
・予防接種外来

移植後 6ヶ月、1年、1年半、2年、2年半、3年と、その後は1年毎に移植後5年程度まで(最短でも予防接種終了まで)ですが、患者さんとの相談により延長可能です。原則として予約制ですが、主治医からの依頼や患者からの連絡により、適宜対応致します。

移植後看護外来

退院直後、 6ヶ月、1年、1年半、2年と、その他は必要度に応じて、頻度や期間を担当看護師が診察毎に決定・調整します。

5.診療内容

(1) 移植後LTFU・予防接種外来

① LTFU:下記のような項目を中心に、定期的にフォローし、GVHDの悪化を予防することや移植後合併症の予防と早期発見・対処を目標とします。

  • 全身状態(PS、血圧など)のチェック
  • 慢性GVHDの評価
  • 血液・尿検査:免疫回復の評価、ウイルス抗体価、ホルモン(甲状腺機能関連、性腺機能関連)、糖・脂質代謝性疾患関連項目、鉄過剰関連項目、血液型(該当者のみ)、尿一般、便潜血など
  • 呼吸機能検査
  • 骨密度検査
  • 歯科検診
  • リプロダクション科検診
  • 眼科
  • 上部内視鏡検査
  • 乳房検診
  • QOL調査:SF-36、FACT-BMT

*移植後LTFU・予防接種外来受診カード
※初回受診時にお渡しし、外来受診・予防接種の記録を行います。

②予防接種:下記の予防接種が可能です。

接種時期については、おおよその目安であり、慢性GVHDや免疫回復の状態、免疫抑制剤やステロイド投与の有無によって異なります。予防接種の費用は原則として自費となりますが、一部助成の対象となる場合(高齢者に対する肺炎球菌ワクチンなど)もありますので、受診時にご相談ください。

当院で可能な予防接種
ワクチン 12M 14M 16M 18M 24M
不活化ワクチン
・トキソイド
肺炎球菌 ワクチン
13価結合型ワクチン(プレベナー13)
23価多糖体ワクチン(ニューモバックス)
(●)
Hib ワクチン
【インフルエンザ菌】
(アクトヒブ)
2種混合ワクチン
【破傷風・ジフテリア】(DTピック)
4種混合ワクチン
【破傷風・ジフテリア・百日咳・ポリオ】(テトラビック)
B型肝炎 ワクチン
(ヘプタバックス)
インフルエンザ ワクチン 季節性で、主治医の外来でも接種しています
生ワクチン 麻疹風疹 ワクチン (●)
おたふくかぜ ワクチン
水痘 ワクチン



当院における移植後の予防接種のべ件数(2012年6月〜2022年3月)

① 不活化ワクチン

4種混合ワクチン
(テトラビック)
2種混合ワクチン
(DTビック)
3種混合ワクチン
(接種終了)
ポリオワクチン
(接種終了)
973 48 432 340
肺炎球菌ワクチン
(ニューモバックス)
肺炎球菌ワクチン
(プレベナー)
Hib ワクチン B型肝炎ワクチン
371 1,249 1,161 298

② 生ワクチン

麻しん風しんワクチン※ おたふくかぜワクチン 水痘ワクチン
第一回 369 323 262
第二回 132 212 134

※麻しんワクチン、風しんワクチンを含む。



(2) 移植後看護外来

下記のような項目を中心に、移植後の新しい生活スタイルを支援することを目的としています。現在では1年間に延べ500人以上の方が受診されています。

  • 慢性GVHDのセルフケアの指導
  • 生活全般に関するアドバイス・サポート

① 生活習慣病対策

② 骨粗鬆症対策

③ 感染症対策

④ 心理サポート

⑤ 就労支援

直近5年の受診患者数

年度 延べ患者数(人)
2017年度 396
2018年度 552
2019年度 608
2020年度 509
2021年度 761



6.連携体制

・二次がんをはじめとした合併症スクリーニングについては、下記施設と連携を図っています。

・移植担当医と共に、虎の門病院内の患者会とも連携し、ご協力いただいた臨床試験の報告、予防接種やがん検診の呼びかけなども行っています。

<連携施設・クリニック>

■赤坂虎の門クリニック

→消化器内科(内視鏡)、泌尿器科

■恵比寿門脇ブレストクリニック

■虎の門病院付属健康管理センター

受診・内容に関するお問い合わせは下記までお願い致します。

<虎の門病院血液内科移植コーディネーター>
03-3588-1111
受付時間:AM10:00~PM16:30

*他の業務との兼ね合いで応答できない場合もあります

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