細胞療法センター

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はじめに

 当センターは造血幹細胞や再生医療等製品を用いた細胞療法を、輸血・細胞治療部、臨床工学部、看護部、医療安全部および診療科といった関連部署が密に連携し、安全に効率よく実施することを目的として設立されました。
 現在行われている治療は下記の通りです。

造血細胞移植

 造血細胞移植には、患者さん自身の事前に採取した造血幹細胞を用いる自家移植と、健康なドナーの造血幹細胞を移植する同種移植があります。
 同種移植は、化学療法(抗がん剤)の効果が乏しい場合や、造血幹細胞自体が上手く働かなくなった場合に、病気にかかった血液細胞を健康な細胞と取り替えることで、病気の根治を狙う治療法です。移植前処置(化学療法剤や放射線照射)で病気にかかった細胞を破壊した後、 健康な造血幹細胞を移植すると、これが骨髄に生着し、やがて造血機能が回復します。
臍帯血移植も同種移植の1つです。
当院における造血細胞移植の治療実績の詳細は、血液内科のHPをご覧ください。

ヒト間葉系幹細胞を用いた急性GVHD治療

 同種移植では、ドナー由来のリンパ球が患者の正常臓器を異物とみなして攻撃する、移植片対宿主病(graft-versus-host disease;GVHD)を発症する場合があります。 特徴的な症状により急性と慢性に分けられ、急性GVHDは主に移植後早期に、皮膚、肝臓、消化管に起こります。
 多くの場合、まずステロイドによる治療が行われますが、効果が乏しい場合の治療選択肢として、ヒト間葉系幹細胞を用いた治療があります。間葉系幹細胞は、自己複製能や多分化能と共に、免疫調節作用を持ち、炎症部位に集まって免疫反応を抑制すると考えられています。

当院におけるヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞(テムセルHS注)の実績は下記の通りです。

CAR-T細胞療法

CAR-T細胞療法とは?

キメラ抗原受容体(CAR)–T細胞療法は、
①患者さん自身のリンパ球(T細胞)を取り出し、
②遺伝子技術を用いてT細胞の表面にCARを発現させ、
③がん細胞への攻撃性を高めたCAR-T細胞を培養して増やし、
④患者さんの体内に戻すことにより、がん細胞を死滅させる治療法です。
 再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫や濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫の治療に用いられます。特に、再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫では、CAR-T細胞療法が臨床で使われるようになるまでは、完治することは困難でしたが、CAR-T細胞療法により、約4割程度、完治を得られる可能性があると言われており、現在、注目されている治療です。

CAR-T細胞療法の流れ

① 白血球アフェレーシス
 患者さんの血液を、専用の機器(遠心型血液成分分離装置;Spectra Optia)に循環させ、必要な成分だけを採取して残りの血液を体に戻します。所要時間は約3~4時間です。当院では、血液浄化センターで臨床工学技士が行います。

②、③ CAR-T細胞の製造
 採取した細胞は、製造施設に搬送され、そこでT細胞へのCAR遺伝子導入、CARが発現した細胞(CAR-T細胞)の培養・増幅が行われます。製造が完了し、品質検査に合格したものは、一旦凍結されて、治療施設に送られます。
 このプロセスにおよそ数週間を要するため、患者さんは、この間、ブリッジング(橋渡し)治療として、抗がん剤治療や放射線治療を行うことがあります。

④ CAR-T細胞の投与
 CAR-T細胞は投与時まで輸血・細胞治療部で保管・管理します。病棟では、治療効果を十分に発揮させるために、リンパ球除去化学療法を行った後に、CAR-T細胞を投与します。投与時の輸注反応(インフュージョンリアクション)を軽減するために前投薬を使用します。また、投与後もサイトカイン放出症候群や神経系事象の出現に注意が必要で、医師および看護師が連携して対応します。
 当院は、CAR-T細胞療法の実施施設で、現在、下記の3種類のヒト体細胞加工製品の治療を実施しています。

  • リソカブタゲンマラルユーセル(liso-cel, ブレヤンジ静注)
  • アキシカブタゲンシロルユーセル(axi-cel, イエスカルタ点滴静注)
  • イデカブタゲンビクルユーセル(ide-cel, アベクマ点滴静注)

 また、CAR-T細胞療法の治験治療も行っています。
当院におけるCAR-T療法の実績は右記の通りです。

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