肝臓内科

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当科の肝臓病治療が、真に効率的で高い治療効果が得られるように、最新の治療法を取り入れた専門性の高い診療を目指しています。全国各都道府県で原則、一施設認定される肝疾患医療連携拠点としての任命を受けた肝疾患相談センターは20114月に開設され東京都肝炎拠点病院として活動しています。また、日本医療研究開発機構・厚生労働科学研究費補助金 肝炎等克服緊急対策研究事業では、研究代表者・研究分担者として臨床と基礎を融合させ、あらゆる肝臓病に対する高い治療効果が得られるように常に最新の臨床治験を通じて新規の薬剤や治療法を模索し臨床病院として効果の高い治療を提供できるように務めています。また、臨床研究を推進して、先進的な医療を行うためのエビデンスに基づいたデータを常に世界に向けて発信しています。

2024年3月までに肝臓センターで診療し登録されている患者数は、B型肝炎 7,974例、C型肝炎 12,222例、肝がん 3,828例、自己免疫性肝炎 285例(確定診断例)、原発性胆汁性胆管炎 351例、その他、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む脂肪性肝疾患 8,160例です。

当科がこれまでに最も得意としてきた治療は、ウイルス性肝炎における抗ウイルス療法です。その治療実績は、B型慢性肝疾患のインターフェロン 1,559例と核酸アナログ 5,101例、C型慢性肝疾患のインターフェロン総数(プロテアーゼ阻害剤併用を含む)11,438例、2014年以降のインターフェロンフリー治療(直接作用型抗ウイルス薬, DAAs3,615例です。2021年より日本医療研究開発機構の肝炎等克服対策研究事業の分野で、B型肝炎患者のドラックフリーおよびHBs抗原陰性化を目指した治療法に関する研究を目指した治療法に関する研究を研究代表者として全国の7施設を統括しインターフェロンと効率的に組み合わせることによりHBs抗原陰性化を目指した治療法の確立を行っています。

肝細胞癌の治療は、切除不能な肝癌に対する治療である分子標的治療薬のレンバチニブを当科が治験代表としてソラフェニブに対して全生存期間の統計学的非劣性のデータを世界に発信し、重要な治療法の一つとなっています。さらにレンバチニブと肝動脈化学塞栓術(TACE)のシークエンシャル療法を行い病勢進行後の生存率の延長に寄与する有効な治療法の一つとして検討しました。さらに、2021年から分子標的治療薬と免疫チェックポイント阻害薬による治療が開始され、新たな肝癌治療薬を取り入れた治療を行っています。肝癌治療では、外科的肝切除術 2,022例、ラジオ波凝固療法(RFA1,670例、TACE 2,856例、抗がん剤治療(分子標的薬治療を含む)307例です。個々の患者さんに適した集学的な治療を行っています。

脂肪性肝疾患では、NASH専門外来、食事運動療法入院、新薬の開発治験に力を入れています。本邦におけるNAFLD/NASH診療ガイドラインの策定にも参画しています。臨床試験では、2型糖尿病合併NASHへのSGLT2阻害剤の有効性を検証し肝組織が改善(炎症と線維化を改善)することを当院から発信し、NAFLD/NASH診療ガイドライン2020で採用される治療となっています。さらに当科では非BC型肝炎患者からの肝発癌症例の増加に伴い非侵襲的な肝癌早期発見への試みを行っています。肝癌組織で確認される体細胞遺伝子のTERTプロモーター変異(TERT C228T)の高感度測定系を開発し、リキッドバイオプシーの臨床応用を試みています。その他に患者の人遺伝子多型(SNPs)に関する多岐にわたる基礎研究を行なっています。一方、実臨床では2021年から多職種連携に基き、理学療法士や管理栄養士とともにガイドラインで推奨されている食事運動療法の6日間入院プログラム(脂肪肝改善入院)を開始しました。300例のデータで肝機能の改善と体重の減少効果から有効性を確認し、当院から発信されたプログラムとなりました。

◆脂肪肝改善入院のご案内

自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎の患者さんには厚労省班会議の診療ガイドラインを踏まえた治療を行っており、1998年より難治性の肝疾患の班会議に参加し現在は診療ガイドラインの策定に参画し、より進んだ診療を目指しています。

 肝臓内科 実績①.png肝臓内科 実績②.png

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