臨床工学部

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メッセージ

当院の臨床工学部(Department of Clinical Engineering: CE部)は平成156月にそれまで各部署に配属されていた臨床工学技士を統合して発足しました。現在、本院血液浄化療法室CE管理科、分院血液浄化療法室CE管理科、手術室CE管理科、CE管理科に分かれ、それぞれ臨床技術提供をおこなっています。さらに当該生命維持管理装置の操作運用と保守管理に留まらず、当院の病棟および外来で使用されるME機器・システムおよび医療設備の保守管理に積極的な関わりを保つことにより安全で質の高い医療サービスを提供することを目的としています。以下に各業務の具体的な内容を示します。

本院血液浄化療法室CE管理科

血液浄化療法業務を担当し、主に血液透析業務で血液透析の準備、バスキュラー・アクセスへの穿刺、開始時の機器操作、透析中の監視、終了時の返血操作等を行います。また、透析液の浄化管理や透析機器システムの管理、保守点検も行っています。血液浄化療法室のみならず、集中治療室や一般病棟でも機器を運び治療を行っています。

2023年度の実績

特殊治療に関しては血漿交換(35件)、二重濾過血漿交換(36件)、末梢血幹細胞移植(36件)、CAR-T療法(23件)、LDL吸着(22件)、エンドトキシン吸着(10件)、顆粒球除去療法(40件)、ビリルビン吸着療法(19件)、腹水濾過濃縮再静注法(26件)、レオカーナ(43件)、持続緩徐式血液濾過療法(800件)を実施しています。

手術室CE管理科

循環器外科手術関連業務

私たちは、心臓手術を安全に行うために不可欠な人工心肺装置の操作を専門としています。特に、当院の特徴であるわずか34cmの小さな切開を用いて行う完全内視鏡下右小開胸心臓手術(MICS)における人工心肺装置の管理に長けています。また、胸部や腹部の血管にステントを挿入する手術(TEVAREVAR)、心臓の弁をカテーテルで置換するTAVI手術、心臓の僧帽弁をクリップで治療するMitraClip手術など、先進的な治療のサポートも行っています。

ロボット支援手術関連業務

当院は2種類の手術用ロボットを駆使し、より正確で安全な手術を可能にしています。これらのロボットは、手術時の精密な操作を可能にし、従来の手術方法では難しかった繊細な処置を実現しています。私たちは、これらの高度な機器の管理と設定、そして万が一のトラブルに備えた迅速な対応を通じて、医師の手術を最大限にサポートしています。

手術室および外来機器管理業務

生命維持装置を含む多岐にわたる医療機器は、手術室の運用に不可欠です。これらの機器が常に最適な状態で機能するよう、私たちは定期的な保守・点検と、経済的かつ効率的な更新計画を実施しています。また、機器のトラブルが手術の進行に影響を与えないよう、迅速な対応を心がけています。医療機器に関する深い知識をもって、医師や看護師への教育も積極的に行っており、安全な医療技術提供を目指しています。

整形外科(主に脊椎)手術時の運動誘発電位(MEP)業務

脊椎手術では、神経機能の損傷を避けることが極めて重要です。運動誘発電位(MEP)モニタリングにより、手術中の患者様の神経状態をリアルタイムで観察し、リスクを最小限に抑えることが可能です。この高度なモニタリング技術の運用にあたり、私たちは患者様への電極の適切な貼付から、正確なデータの読み取りまでを担当し、安全な手術の実施をサポートしています。

2023年度の実績と成果

昨年度において、20室ある手術室では合計で7,958件の手術を行いました。その中には、人工心肺を使った手術が224件、TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)、MitraClip(僧帽弁修復術)、内視鏡を用いた手術2,500件、ロボットを活用した手術218件、MEP(運動誘発電位)モニタリング139件が含まれます。これは当院が提供している先進的な医療の幅広さを示しています。手術室や外来での医療機器の管理から体外衝撃波結石破砕術(ESWL)に至るまで、臨床工学技士としての私たちの業務範囲は広く、患者様の安全と健康を最優先に考えた医療サービスの提供を、医師、看護師、その他医療スタッフと協力して行っています。

CE管理科

集中治療業務

集中治療室では医師・看護師・薬剤師・理学療法士など他職種と連係して重症患者の治療に対応しています。医師のタスクシフト・シェアや患者へより良い医療を提供するために、生命維持管理装置の操作を医師の指示のもと積極的に行っています。
令和5年から集中治療室専従スタッフを配置し、生命維持管理装置のスペシャリストとして重症患者管理に積極的に参加しています。

人工呼吸器療法業務

院内の人工呼吸器約40台の保守管理や毎日点検を行い人工呼吸中の患者の安全確保に努めています。
呼吸療法サポートチーム(RST)の主要メンバーとして、院内の人工呼吸患者の呼吸ケア、気道や呼吸に関する様々な問題を討議して毎週病棟回診を行っています。

血管撮影室業務

血管撮影室では主に心臓カテーテル検査(CAG)・治療(PCI)におけるポリグラフを用いたバイタルサインのモニタリングや血管内超音波(IVUS)や光干渉断層法撮影(OCT)を用いた治療のサポートを行っています。その他にもPCIに使用する医療機器(ロータブレータやDiamond back、除細動器など)の操作・保守管理を行っています。
SHD(構造的心疾患)治療では経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)や経カテーテル僧帽弁接合不全修復術(MitraClip)に清潔野におけるデバイスサポートを行っています。

不整脈治療業務

カテーテルアブレーションは心臓内で異常な電気的興奮する組織をカテーテルで焼灼や冷凍凝固を用いて不整脈を治療します。アブレーション業務では心内心電図の記録や心内刺激装置・3Dマッピングシステムなどを操作して治療をサポートしています。
ペースメーカは微弱な電気刺激を心臓に送り徐脈の改善を目的として開発されました。近年では頻脈治療や心不全を改善するデバイスもあります。また、自宅にいても病院へデバイスの情報が送られる遠隔モニタリングが可能になり、早期に不整脈やデバイスの異常が発見できるようになりました。ペースメーカ業務では植込み、外来フォロー(2)、遠隔モニタリング(毎月)を行なっています。

医療機器管理業務

院内の医療機器約6,000台の導入から廃棄までの管理を他職種と連携しCE管理科にて一元的に行っています。当院で中央管理されている機器は使用後、医療機器管理室へと返却され、臨床工学技士にて清拭・点検を実施し常に清潔で安全に使用できる状態に管理しています。また、医療機器の定期点検計画の作成・実施を行い、医療機器の性能、精度の維持に務めています。院内の医療機器トラブルの対応・医療スタッフへの説明会・勉強会などもCE管理科にて対応しています。

在宅医療機器管理業務

医師・看護師・MSWと連携し、患者さんと医療機器メーカーとの在宅医療機器の導入窓口としてCE管理科にて対応しています。在宅酸素療法の導入に向けて在宅酸素療法関連歩行試験の検査も臨床工学技士にて対応しています。

2023年度の実績

SAT:501件、SBT:137件、アンギオ件数1,100件、不整脈治療(ABL,PM等)246件、PM対応(外来、MRI遠隔点検含む)5,763件、点検業務31,283件、在宅医療機器対応(在宅酸素、在宅呼吸器等)104件、歩行試験177

専門・認定資格取得一覧

血液浄化関連専門臨床工学技士
集中治療専門臨床工学技士
呼吸治療関連専門臨床工学技士
手術関連専門臨床工学技士
心・血管カテーテル関連専門臨床工学技士
不整脈治療関連専門臨床工学技士
認定血液浄化関連臨床工学技士
認定集中治療関連臨床工学技士
3学会合同呼吸療法認定士
透析技術認定士
日本アフェレシス学会認定技士
腎代替療法専門指導士
透析技能1級検定
補助人工心臓
心血管インターベンション技師制度
体外循環技術認定士
臨床ME専門認定士
認定ホスピタルエンジニア
ACLSプロバイダー

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