造血細胞移植後長期フォローアップセンター
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造血細胞移植後は長期にわたって、様々な合併症を発症するリスクがあります。
このような疾患にかかると、移植後の生活の質(QOL: Quality of Life)が低下したり、時には命に関わるほど重症化したりすることがあります。
造血細胞移植後長期フォローアップ(LTFU: Long-term follow up)センターでは、血液内科医と各専門領域のエキスパート(各専門科医師、歯科医師、看護師、薬剤師、栄養士など)が連携して、移植後の合併症管理から精神的・社会的支援に至るまでの総合的かつ長期的なサポートを行っております。
これらのサポートを行うことで、移植を受けられた患者さんのQOLを高めるお手伝いができることを目標としています。
主な活動内容は以下の通りです。
① 移植後合併症を予防するための日常生活における注意点のアドバイスや、造血細胞移植により、過去に罹患または予防接種により獲得した抗体が消失または免疫が低下した方への予防接種を行っています。(新型コロナワクチンは対象外です)
② 移植後合併症を早期に発見するために、移植後に問題となりやすい疾患に関連する検査を中心とした人間ドック(造血細胞移植後フォロードック)を設置しています。
③ 移植後のQOLを維持するための、日常生活一般に関する相談、社会復帰支援やメンタルサポートを実施しています。
④ 小児科医と連携して、幼少期・思春期に移植を受けた患者さんが成人になった際に継続してフォローアップを受けていただけるような体制作りを目指しています。
➄リプロダクションセンターや泌尿器科と連携して、移植後のセクシャリティーなご相談にも対応しています。
⑥ 当センターを受診していただいた方への診療から得られた知見やノウハウを、今後の医療に還元していけるよう努めています。
⑦ 当院は造血幹細胞移植推進拠点病院であり、より質の高いLTFU体制を日々追求しています。
事業の一環として、移植に関連したwebセミナー、LTFUに関する各種資料や動画(LTFUチャンネル)の配信を行っています。
詳細は、造血幹細胞移植推進拠点病院地域連携支援センターのページをご参照ください。
2010年4月 | 造血細胞移植患者さんを対象とした移植後LTFU外来を開設しました。 (医師1名、移植コーディネーター1名で開始しました) |
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2012年7月 | 移植後予防接種外来を併設しました。 (予防接種専任の医師がチームに加わりました) |
2013年4月 | 移植後LTFU診療への看護師の参加が始まりました。 (医師と看護師で一緒に診療する体制になりました) |
2015年4月 | 医師が担当する移植後LTFU・予防接種外来と看護師が担当する移植後看護外来を分けて実施する体制になりました。 (予防接種業務は移植後LTFU・予防接種外来で行うことになりました) |
2022年6月 | 造血細胞移植後LTFUセンターを開設しました。 |
当センターは、移植後LTFU予防接種外来および移植後看護外来(共に虎の門病院)と、造血細胞移植後フォロードック(虎の門病院付属健康管理センター)の3つを軸に構成されております。
ここに各領域のエキスパート(歯科、リプロダクション科、臨床感染症科、精神科、内分泌代謝内科、循環器内科、腎臓内科、泌尿器科、小児科、栄養士や薬剤師など)が加わり、かつ近隣クリニックとも連携をとりながら、包括的な診療・支援・指導に努めています。
なお、下記のようなスケジュール・システムで、移植後長期間にわたって一施設で一貫したフォローアップを提供できる体制になっています。
主に、虎の門病院で造血細胞移植を受けられた方および他院で移植を受けられた後に当院に転院された方を対象に、移植後6ヶ月、1年、その後1年毎(状況により半年毎等に短縮)に、移植後LTFU外来で定期フォローを行います。
慢性GVHDを中心に移植後合併症の評価を行うと共に、移植を担当した血液内科主治医と密に連携をとり、合併症の予防・早期発見に努めます。
また、ある程度免疫が回復した時点で、移植後予防接種外来で、ワクチン接種も提供しています。
年度 | 延べ患者数 |
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2019年度 | 837 |
2020年度 | 622 |
2021年度 | 703 |
2022年度 | 814 |
2023年度 | 830 |
当外来では下記の予防接種が可能です。
(当院における移植後の予防接種は、院内の医学的妥当性を検討する所定の手続きを経て、安全性に十分配慮して実施しています)
※ 不活化ワクチンは、一定の条件を満たせば、移植後6か月以降で繰り上げ接種を考慮可能。
(抗腫瘍薬投与中でない、抗CD20抗体の最終投与から6か月以上経過、中等度以上のGVHDがない)
接種時期については、おおよその目安であり、慢性GVHDや免疫回復の状態、免疫抑制剤やステロイド投与の有無によって異なります。
一部の細菌やウイルスでは抗体価を測定することが可能です。
予防接種の費用は原則として自費となりますが、高齢者に対する肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンなど、助成の対象となる場合もあります。
受診時にご相談ください。
日本造血・免疫療法学会主催の同種造血細胞移植後フォローアップのための看護師研修を終了した看護師が、移植を受けられて退院した直後から、GVHDをはじめとした移植後合併症の予防を目的とした看護指導や日常生活の支援を行なっています。
また、慢性GVHD等の症状で、日常生活が困難である患者さんに対しても、生活の工夫を一緒に考えながら少しでも患者さんが考える普通の生活が送れるようにサポートしています。
年度 | 延べ患者数 |
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2019年度 | 608 |
2020年度 | 509 |
2021年度 | 761 |
2022年度 | 764 |
2023年度 | 708 |
造血細胞移植後フォロードックは、移植後患者さん向けの人間ドックです。
血液内科外来やLTFU外来の受診と並行して、あるいは移植後比較的長期が経過し、通院の頻度がかなり減るか、終了した後の健康管理や移植後合併症の包括的スクリーニングとしてなど、様々な場面でご利用いただけます。
虎の門病院付属健康管理センターで行っています。
基本コースとして、身体計測、血液検査、尿検査、便検査、胸部X線検査、心電図、呼吸機能検査、腹部超音波検査、胃内視鏡検査、骨密度検査、聴力検査、眼科検査を行います。
また、ご希望によりオプション検査を追加することができ、特に、頸動脈超音波検査、大腸内視鏡検査、脳ドック、子宮がん健診、乳がん検診をお勧めしています。
・移植後LTFU外来
月曜日午前 | 担当:髙木 |
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木曜日午前 | 担当:髙木 |
木曜日午後 | 担当:森 |
・移植後予防接種外来
月曜日午前 | 担当:小倉(臨床感染症科) |
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・移植後看護外来
月曜日午後 2名の看護師が2枠(部屋)同時進行で行っています。
木曜日午後 2名の看護師が2枠(部屋)同時進行で行っています。
※虎の門病院以外で移植を受けられた方または他院の血液内科でフォロー中の方の、移植後LTFU外来、移植後予防接種外来、移植後看護外来での直接の受診受付は現在行っておりません。
下記より申し込みをお願いします。
当ドックは、虎の門病院付属健康管理センターにて行っています。
施設の概要、交通アクセス等につきましては、
にてご確認ください。