消化器外科(下部消化管)
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大腸癌で手術が必要な方は可能な限り早期に手術を行います。通常初診から手術までが通常は2週間以内です。
年間400件から450件という全国トップクラスの大腸癌手術数の98%をロボット支援手術、腹腔鏡手術といった低侵襲手術で行います。
現在Medtronic社のHugo RAS SystemとIntuitive社のdaVinci Xiの2台体制となっています。年々その件数はは増加し、特に大腸癌領域におけるHugo RAS Systemの経験数は国内随一となっています。
肛門温存不可能とされた患者さんに対しても、放射線治療、抗がん剤治療を駆使し肛門温存を目指します。著効例には手術をせず慎重に経過観察を行い、直腸自体を温存するNon-operative Management (NOM)を行っています。
手術がハイリスクとされるような高齢患者様や持病のある患者様に対しても他科と連携をとり積極的な治療を追求します。またそういった患者様に対しても低侵襲治療を提供しています。
当院では24時間救急対応もしております。またがん以外の良性の病気にも対応しています。手術後のケアも含めて万全の体制をとっております。
年間400件から450件という全国トップクラスの大腸癌手術の経験を元に、常に最良の治療を追及しております。当院の低侵襲手術(鏡視下手術)の歴史は長く、常に国内をリードする存在です。現在その施行率は98%と高くなっており、そしてロボット支援下手術、腹腔鏡手術共に全国トップクラスのクオリティを誇ります。
ロボット支援下手術は2019年に導入し、現在Medtronic社のHugo RAS SystemとIntuitive社のdaVinci Xiの2台体制となっています。特にHugo RAS Systemは国内で販売されている中で最新の手術支援ロボットであり、消化器外科領域では国内随一の経験があります。
また下部進行直腸癌に対しては15年前から術前化学放射線療法(CRT)を導入し、肛門温存率の増加と局所再発率の低下を目指しております。症例に応じて内肛門括約筋を一部切除し外肛門括約筋を温存する括約筋間直腸切除術(ISR)により、肛門付近の進行直腸癌に対しても可能な限り肛門温存を図ってきました。腹腔鏡手術、ロボット支援下手術共に得意としており、それぞれに特性を活かした安全かつ質の高い手術を行っています。さらに近年では、通常は術後に行う全身化学療法をCRTと共に術前に行うTNT(total neoadjuvant therapy)療法により、再発率の抑制や肛門温存率の上昇を目指しています。また著効例には手術をせず慎重に経過観察を行い、直腸自体を温存するNon-operative Management (NOM)を行っています。
もちろん消化器内科、放射線治療科、臨床腫瘍科と緊密に連携してバランスの良い最適な治療を提供しております。
また当科の最大の特徴はハイボリュームセンターながら一般病院としての機能も持ち合わせることです。がん専門病院や大学病院では治療を敬遠される循環器や呼吸器疾患をお持ちの患者さんや高齢の患者さんに対しても内科のエキスパート達と共に積極的な治療を行っております。そしてそういった方にこそ鏡視下手術の低侵襲性という最大のメリットが活かされると考えております。他院で年齢や合併症を理由に手術を断られたり、開腹手術を勧められたりした方も当科に一度ご相談ください。
大腸癌に対するロボット支援手術は近年大腸癌治療の新たなオプションとして普及してきています。手術支援ロボットは、鉗子の多関節機能により腹腔内での鉗子操作の自由度が向上します。またモーションスケールという鉗子を繊細に動かす機能と手振れ補正機能を備えており、より精緻な手術が可能となります。当院でも2019年にda Vinci Xiを導入し、豊富な腹腔鏡手術の経験を活かして安全に手術を積み重ねてきました。手術数の増加に伴い昨年新たに導入したのが、メドトロニック社の手術支援ロボットHugo RAS Systemです。こちらは2023年7月に正式認可された最新機種で、当院が本邦で8施設目の導入です。4本のアームがそれぞれ独立していることが大きな特徴で、従来機種と比較して柔軟にアームを配置することが可能です。これによりアーム同士の干渉が低減され、患者さんに応じて最適化した手術が可能となります。また従来術者は閉ざされたコックピットの画面を覗き込んで操作する形でしたが、Hugoはオープン方式を採用しています。術者は大型の3Dモニター画面と同時に実際の術野を見ることが可能であることから、術野の確認とスタッフ間のコミュニケーションが円滑となり安全に手術を行うことが可能です。2024年3月の導入以降、これまで150例以上のHugo大腸癌手術を行い、これは消化器外科領域で国内随一です。また手術成績も良好であり安全に手術を終えることができています。
直腸癌の治療において問題となるのが肛門の温存です。特に癌が肛門括約筋に浸潤している場合に合併切除をすると永久人工肛門となります。当院では以前から術前放射線化学療法(CRT)で腫瘍を縮小させ、症例に応じて内肛門括約筋を一部切除し外肛門括約筋を温存する括約筋間直腸切除術(ISR)により、肛門付近の進行直腸癌に対しても可能な限り肛門温存を図ってきました。腹腔鏡手術、ロボット支援下手術共に得意としており、それぞれに特性を活かした安全かつ質の高い手術を行っています。さらに近年では、通常は術後に行う全身化学療法をCRTに加えて術前に行うTNT(total neoadjuvant therapy)療法により、再発率の抑制や肛門温存率の上昇を目指しています。また完全奏功例(cCR)には手術をせず慎重に経過観察を行い、一定の割合で手術を回避する積極的待機療法Non-operative Management (NOM)を行っています。こちらに関しては専門医の診察、内視鏡検査、MRI検査による厳密な治療効果判定が必要ですが、その診断は非常に難易度が高いとされます。当院の経験豊富な消化器内科医、放射線医の診断により高精度な診断を提供しています。これにより完全奏功と判定され患者さんは直腸を温存し排便障害を軽減することでQOLを維持することも可能です。当院では根治性とQOLを常に考え治療を行っております。
当科で扱う疾患は、大腸癌(結腸と直腸を併せて「大腸」と言う)を中心とした下部消化管(小腸、結腸、直腸、肛門)の悪性疾患だけではなく、良性腫瘍、虫垂炎、大腸憩室症(憩室炎、憩室出血、憩室穿孔)、クローン病、潰瘍性大腸炎等の炎症性疾患や腸閉塞(イレウス)に対する外科的治療も行っています。 特に近年増加しているS状結腸憩室炎に伴う結腸膀胱瘻に対する腹腔鏡下手術は世界一の症例数を誇り、永久人工肛門になる症例はほとんどありません。また、内痔核、痔瘻、肛門周囲膿瘍といった肛門疾患や鼠経ヘルニア等の手術も行っています。
専属スタッフ8名とレジデントで診療を行っています。黒柳、的場、戸田、花岡、平松、前田、福井、岡崎、富沢の9名は、日本内視鏡外科学会技術認定(消化器外科)取得者です。
当科は大腸癌を始め様々な疾患の治療において消化器内科はもちろんのこと、放射線治療科(放射線治療を行う科)、臨床腫瘍科(抗癌剤治療を行う科)と定期的にカンファレンスを行い、連携をとって治療にあたっております。
例えば早期大腸癌で当科に紹介頂いた場合でも消化器内科と相談の上、内視鏡切除が良いと判断されれば消化器内科で内視鏡切除を行うことになります。また前述のように下部進行直腸癌の場合は放射線科と合同で治療を開始しますし、抗癌剤治療が必要になった場合は臨床腫瘍科と連携しながら治療に当たります。このように総合的に最善の医療を提供する体制をとっております。