前立腺センター
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2020年8月に虎の門病院 前立腺センターが開設されました。前立腺センターでは主に前立腺がん、前立腺肥大症の2つの疾患を対象としています。
前立腺がんは2016年より男性の年間に診断される「がん」で最多となりました。泌尿器科医、放射線治療医、腫瘍内科医と綿密に連携して治療をすることで放射線治療や化学療法など集学的治療を行い、最適な治療を提供します。前立腺がん早期発見のため、虎の門病院付属健康管理センター・画像診断センターにて前立腺ドックを開設しております。
限局性前立腺がんに対して、手術療法もしくは放射線療法を行なっております。手術支援ロボット「ダヴィンチXi」、「ヒューゴRAS」を使用して前立腺摘除術を行います。開腹手術と比較して、緻密な手術操作が可能となったことから、より低侵襲に、制癌性を保ちながら、排尿機能、勃起機能の温存が可能となりました。 それに加えて、当院では総合病院である強みを生かして、既往症の多い方でも循環器センターや腎センター、呼吸器センターなどの専門性の高い内科医と協力することでより安全に手術を行えます。また放射線療法では強度変調放射線治療(IMRT)および体幹部定位放射線治療(SBRT)を選択できます。IMRTの治療期間はこれまで当院では60Gy/20回(4週)(寡分割照射)を基本コースとしておりました。2021年より放射線治療のターゲットである前立腺からの照射のずれを減らすための工夫(前立腺組織内金属マーカー留置)に加えて、これまでは避けられなかった前立腺に隣接している直腸への照射を軽減する工夫(直腸間スペーサー留置)を開始しました。この方法を用いて5回のSBRT (1日おきで約2週間)の治療も可能となりました。当院では、仕事との両立を目指す方に、19時30分(最終受付時間19時10分)まで放射線治療を行っています。
転移性前立腺がんに対しては、全身に効果のある薬物治療が中心となります。泌尿器専門の腫瘍内科医が在籍しており、従来の薬物療法に加えて、臨床試験も行っております。
前立腺肥大症に対して、レーザーを用いたHoLEP(経尿道的前立腺レーザー核出術)を行っております。前立腺肥大症は、薬物療法で治療を開始しますが、薬物治療で症状が改善しない方、急性尿閉(尿を全く排出できず、強い膀胱痛を感じている状態)になる方は手術適応となります。現在日本では、前立腺肥大症に対する手術は従来からあるTURP(経尿道的前立腺切除術)か、当院で行っているHoLEPという手術方法が主流です。HoLEPはTURPと比較して出血量が少く、術後の尿道カテーテル留置期間が短くなり、入院期間も短くなります(当院での予定入院期間:5日間)。肥大した前立腺組織を核出するため、残存組織が少なく、再発の可能性も低いです。出血が少ないことから、抗血栓療法(例:狭心症でバイアスピリン内服、心房細動でワーファリン、リクシアナ、エリキュースなどを内服)を継続されている方でも手術可能です。当院では既往症の多い方でも内科と協力することでより安全に手術を行えます。既往症が多く、他の内科的疾患があるために手術を受けるのが心配であるという方は当院までお問い合わせください。