救急科
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『救急医療は“医”の原点であり、かつ、すべての国民が生命保持の最終的な拠り所としている根源的医療と位置付けられる』 (厚生省救急医療体制基本問題検討委員会報告書,平成9年12月11日発表より)よく引用される30年近く前の報告書です。
平成から令和に時代が移った今でも、救急医療の重要な位置付けはいささかも変わっていません。国民ひとりひとりの経験した緊急事態、安全安心な市民生活を脅かす災害や事件・事故、大震災やCOVID-19パンデミックのような国家的危機。さまざまな事象を通じて、救急医療が重要であるという認識は国民に広く浸透してきました。
救急医療の担い手は病院だけではなく、診療所や消防はもちろん、地域行政に関わる方や応急手当をして下さる一般市民の方々も含まれます。国民ひとりひとりの力が救急医療を支えていますし、救急医療が必要でない方はいません。
生命保持の最終的な拠り所である救急医療の病院側の窓口が、我々の持ち場である救急外来です。救急医療の現場に身を置いて国民の力になること、救急医療を仕事にすること、スタッフ一同はこの誇りを胸に抱き、日々努力しています。
虎の門病院は東京都区中央部保健医療圏に位置しており、首都東京の心臓部にあたる霞が関官庁街に近接した港区内の東京都指定二次救急医療機関、災害拠点病院です。虎の門病院は、港区内のみならず、隣接した千代田区、中央区、品川区、目黒区、渋谷区、新宿区など都内各地から、そして救命救急センターを含む他病院から、年間総数で7000件を超える多くの救急搬送を受け入れています。
当院は災害拠点病院としてDMAT(災害派遣医療チーム)を保有しており、災害時の迅速な医療支援体制を整備しています。令和6年能登半島地震において虎の門病院DMATを派遣し、被災地支援を行いました。
内科的疾患から外傷まで、幅広い救急患者の初期診療、緊急手術・入院に対応し、24時間365日体制で救急患者の受け入れを行っています。入院治療を提供できる設備や救急患者のための病床が整っており、救急医療の豊富な知識・経験を備えた医師が常駐しています。
救急科は2025年4月現在常勤8名体制です(日本専門医機構救急科専門医4名、救急科専攻医3名、うち1名は7月より出向中)。
救急部門・集中治療部門は特に緊密な連携体制をとっており、救急・集中治療センターを構成しています。重症救急患者に対する集中治療が可能です。
救急科は、集中治療科、外傷センター及び各専門診療科と連携して救急診療を行っています。重症度・緊急度に応じたトリアージシステムを導入しています。救急科専門医をはじめとする初療医による初期診断が行われ、虎の門病院が誇る各専門診療科との密接な協力体制を活かし、複雑な病態や重症例にも適切かつ迅速に対応しています。重症例は速やかにICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)に入室します。地域医療機関との連携を強化しており、他病院からの転送依頼にも柔軟に対応しています。
当院は東京都CCUネットワークの加盟施設であり、かつ急性大動脈スーパーネットワークの緊急大動脈支援病院です。循環器センター内科・外科が緊急診療体制をとり、急性心筋梗塞をはじめとする急性心血管疾患や急性大動脈疾患に対して迅速に対応しています。
また、当院は一次脳卒中センター(PSC)コアに認定されています。脳卒中センターでは、専門医師による脳卒中診療が常時可能な体制を敷いています。SCU(脳卒中ケアユニット)で神経集中治療を専門的に行なっています。
救急科には6名の救急救命士が所属しています。救急救命士の専門性を活かして、現場救急隊からの収容依頼対応、救急外来における患者対応やトリアージ、ドクターカーの搬送業務などを行っています。
救急科は院内急変対応システム(RRS:Rapid Response System)のコアメンバーとして活躍しています。RRSとは入院患者さんの急変前兆を早期に察知し、蘇生や集中治療を専門とするチームで迅速に対応・介入し、院内心停止や死亡を未然に防ぐためのシステムです。24時間365日対応のRRS体制を救急科・集中治療科が連携して確立しており、院内の安心・安全に貢献しています。