夜間に激しいせん妄を起こした患者さんにうまく関わることができず、後悔が残った経験があります。今になって考えると、そのせん妄の発症は事前に予測できるものでしたが、当時の私は事後対応に追われるばかりでした。こうした経験から、患者さんに生じうる精神医学的な問題について十分な知識を身につけ、自分のことだけでなく他の看護師もサポートできる存在になりたいと考え、精神看護専門看護師を目指すようになりました。
不安でたまらず何度も電話確認をしてくる患者さん、死を目前にして「人はどのように死んでいくのか誰も教えてくれない」と苦悩する患者さん、患者さんの強い怒りに戸惑う看護師……。
どうサポートしたらよいのか、すぐに答えが見つからないこともありますが、ともに悩み、寄り添い続けるなかで、その人が持つ強さ、たくましさを引き出すようにしています。そのカギは、看護師として本当の優しさや思いやりを持って関わることだと思います。そこが一筋縄ではいかないところであり、大きなやりがいでもあります。