医師紹介

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井桁 之総

井桁 之総IGETA YUKIFUSA

認知症科 部長
平成4年卒

認知症科

専門・実績

認知症超早期診断
認知症バイオマーカーの開発 
認知症およびその類縁疾患(脳梗塞、髄膜炎後遺症、パーキンソン病など)

認定資格

日本認知症学会 専門医・指導医
日本神経学会 専門医・指導医
日本内科学会 認定医・指導医
日本老年医学会 専門医
臨床研修指導医

主要著書・出版

【学術雑誌(査読雑誌)】
1. Yuyama K, Sun H, Fujii R, Hemmi I, Ueda K, Igeta Y*
Extracellular vesicle proteome unveils cathepsin B connection to Alzheimer's disease pathogenesis. Brain. 2024 Feb 1;147(2):627-636.

2. Igeta Y*, Hemmi I, Yuyama K, Ouchi Y
Odor identification score as an alternative method for early identification of amyloidogenesis in Alzheimer's disease. Sci Rep. 2024 Feb 26;14(1):4658.

3. Nagasawa K, Matsumura K, Uchida T, Suzuki Y, Nishimura A, Okubo M, Igeta Y, Kobayashi T, Sakurai T, Mori Y. Global cognition and executive functions of older adults with type 1 diabetes mellitus without dementia. J Diabetes Investig. 2024 Mar 25.

【書籍】
井桁之総. 認知症 ありのままを認め、そのこころを知る.初版. 論創社, 東京, 1-254 ,2020.

【学術雑誌】
●2017年
1.井桁之総:虎の門病院における高齢者総合診療部,認知症科,ケアラー外来の実践から. Geriatric Medicine Vol.55 No.7. pp.708-710, 2017

●2018年
1.井桁之総. 『基幹病院における老年医学の多面的アプローチ~虎の門病院『高齢者総合診療部』と『認知症科』の試みと老年病専門医の役割~』(2018)237-243,日本老年医学会雑誌 第55号 第2号.
2.井桁之総. 『認知症の疫学とスクリーニング表』(2018)121(4):724-728. 内科,南江堂.
3.井桁之総 『認知症の診断、対策、予防』(2018)第60巻, 第6号PP779-787.金原出版.
4.井桁之総, 那須いずみ、山元智穂、市川端穂子, 山本恭子, 畑ヶ山紗千子:【高齢者医療における多職種チームの活動】Pallette 107号.2018, p3-6
5.井桁之総. 正しい知識で認知症に備える. 総合的な判断が必要.認知症にたいする社会の理解促進を. 日経ビジネス2018.9.24.p102.
6.井桁之総 【認知症医療から社会を変革することは可能なのか】商工クラブ; カルチャーサロン6:678/2018 p9-10
7.井桁之総 【ぼくが認知症科をつくったわけ】北陸誌 112号
8.井桁之総 超高齢者社会における新しい医療の流れ 虎の門病院『高齢者総合診療部』と『認知症科』の設立とその活動 共済医報(2018)67(4): pp318-325

●2019年
1.井桁之総共著 改訂版 健康長寿診療ハンドブック.実地医科のための老年医学のエッセンス 日本老年医学会 株式会社メジカルビュー社.
2.井桁之総. 認知症の診断と主な疾患. PRACTICE プラクティス (2019) 36(1) pp56-59.
3.井桁之総. 高齢者の観点からみた多職種による認知症医療-高齢者総合診療部, 認知症科, ケアラー外来の創設―. PRACTICE プラクティス (2019) 36(2) pp192-196.
4.井桁之総. アルツハイマー型認知症と2型糖尿病の多面的考察. PRACTICE プラクティス (2019) 36(3) pp320-325.
5.井桁之総. 超高齢社会における高齢者総合診療部と認知症科の役割 共済医報 2019 68(2)pp55-59.

●2020年
1. 井桁之総. 精神疾患せん妄. よくある疑問にエキスパートが答える 高齢者診療Standard 2. Collection32. 大内尉義監修. じほう、東京. 358-368, 2020.
2. 井桁之総. 認知症の診断名と異常蓄積蛋白質について. 標準理学療法学・作業療法学 老年医学第5版. 大内尉義編. 医学書院、東京. 203-204, 2020.
3. 井桁之総. 虎の門病院「高齢者総合診療部」と「認知症科」の理念と4年間の活動状況を踏まえた今後の展望. Geriatric Medicine. 58(7), 625-629, 2020.

●2021年
1.井桁之総. 抑うつ症状に対するケア手順 (翻訳). WHO「高齢者への包括ケアガイドライン」(ICOPE)ハンドブックの日本語版について. 一般社団法人日本老年医学会. 59-66.2021.
2.井桁之総. 味と匂いのニューロサイエンス. アルツハイマー病. Clinical Neuroscience. 39(2), 228-231, 2021.
3.井桁之総. MCI・認知症の原因疾患の鑑別. 腎と透析. 90(6), 969-973, 2021.

その他

■研究1 アルツハイマー病の発症に関わるエクソソーム内たんぱく質カテプシンBの発見
我々は脳脊髄液と血液に含まれる分泌物質内の「カテプシンB」と呼ばれるたんぱく質がアルツハイマー病の診断や予測に活用できることを英国の医学雑誌 Brain に発表しました。従来の診断方法より簡易の診断でき、このたんぱく質が新たな治療のターゲットになる可能性があります。血液での測定キットの数年後の実用化を目指しています。

 アルツハイマー病は脳にアミロイドβという異常蛋白質が蓄積し、記憶障害を生じる病気です。我々は脳脊髄液の中にある脳の分泌物質「エクソソーム(細胞外小胞)」が病気の情報を伝達している役割に着目しました。

北海道大学の湯山耕平先生、がん研究会の植田幸嗣先生と一緒に、脳脊髄液のエクソソームを取り出し、そこに含まれる1756種類のたんぱく質を同定しました。その後、統計解析でアルツハイマー病と関係する11種類の蛋白質を探し出しました。
その中でもカテプシンB(Cathepsin B)はアミロイドβの量と相関し、脳脊髄液と血液のエクソソームでも同様の結果でした。
今後、血液のエクソソームの中のカテプシンBを測定できるようになれば、アルツハイマー病が簡単に診断できるようになります。しかもこのカテプシンBを阻害する薬の投与でアルツハイマー病の動物モデルの記憶が改善したとの報告もあり、新たなアルツハイマー病の治療薬の開発にも期待が持てます。
さらにアルツハイマー病の主な発症仮説であるアミロイドカスケード仮説では、アミロイドβはアミロイド前駆体タンパク質(APP)から、β部位APP切断酵素1(BACE1)とγ-セクレターゼという酵素によって切断され、生成されると言われています。しかしカテプシンBもアミロイドβの生成に関与するとの報告もあり、今後の検証が必要となるでしょう。

【原著論文タイトル】
Extracellular Vesicle Proteome Unveils Cathepsin B Connection to Alzheimer’s Disease Pathogenesis.

【著者名】Kohei Yuyama, Hui Sun, Risa Fujii, Isao Hemmi, Koji Ueda and Yukifusa Igeta*
 *Corresponding author: igeta@toranomon@gr.jp

【掲載誌名】Brain

【DOI】10.1093/brain/awad361.
Extracellular vesicle proteome unveils cathepsin B connection to Alzheimer's disease pathogenesis - PubMed (nih.gov)

詳細は、リンク「■研究1 アルツハイマー病の発症に関わるエクソソーム内たんぱく質カテプシンBの発見」よりご参照ください。


■研究2 4種類の臭いのでアルツハイマー病のアミロイドβの変化が解ることを証明しました
「嗅覚識別スコア」と呼ばれる臭いの検査のうち、わずか4種類の臭いでアルツハイマー病のアミロイド変化を認識することを米国の医学雑誌 Scientific Reports に発表しました。
アルツハイマー病では記憶障害が生じる前に嗅覚障害が出現します。嗅覚識別テストの得点が脳脊髄液中のアミロイドβの値とわずかに相関し、健常正常者とアミロイド変化が生じた参加者を判別することを発見しました。この嗅覚識別スコアを用いて、簡単に正常の状態からアミロイドβの変化を捉えられることになり、この検査はアルツハイマー病の超早期スクリーニング検査として有望です。記憶障害が生じる前のアルツハイマー病の予備軍の患者さんを簡単に見つけることが可能になるでしょう。
【原著論文タイトル】
Odor identification score as an alternative method for early identification of amyloidogenesis
in Alzheimer’s disease
【著者名】Yukifusa Igeta*, Isao Hemmi, Kohei Yuyama, and Yasuyoshi Ouchi
 *Corresponding author: igeta@toranomon@gr.jp

【掲載誌名】Scientific Reports

【DOI】DOI: 10.1038/s41598-024-54322-3
Odor identification score as an alternative method for early identification of amyloidogenesis in Alzheimer's disease - PubMed (nih.gov)

詳細は、リンク「■研究2 4種類の臭いのでアルツハイマー病のアミロイドβの変化が解ることを証明しました」よりご参照ください。

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