腎センター内科

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豊富な経験をもとに,個々の患者さんに寄り添った最善の医療を提供いたします

メッセージ

私たちの腎不全治療(透析)の歴史は、1963年1月、虎の門病院6階内科病棟(当時)にて行われた腹膜透析で幕を開けました。以来当院の基本理念である「その時代時代になしうる最良の医療を提供すること」をモットーに、多くのスタッフが腎疾患に悩む患者さんに対して常に真摯に向き合い、患者さんの予後・生活の質の向上のために努力を重ねて参りました。多くの優れた先人達のたゆまぬ努力と情熱、そして共に病気と闘った患者さんの歴史は当科の伝統となり、今も私たちの中に息づいています。
当科は、港区の本院と川崎市の分院が一体となり、内科と外科が密な連携を取りながら総合的な腎疾患診療を行っております。1974年より7000件を超える腎生検を実施し、適切な診断をもとにした最適な治療に繋がっております。
当科の最大の特徴は、単に腎疾患の診断と治療を行うのみでなく、多くの診療分野の専門家と連携した「全身を診る医療」を提供していることです。たとえば、内分泌代謝科と連携した糖尿病性腎臓病(DKD)の治療、循環器科と連携した慢性腎臓病(CKD)合併心血管疾患の治療、血液内科と連携したアミロイドーシスの治療、遺伝専門医と連携した多発性嚢胞腎(PKD)の治療、リハビリテーション部と連携した腎臓リハビリテーション、栄養士と連携した食事療法など、患者さんを中心に、多くの専門家が一体となった診療を行っています。
また、当科スタッフの多くはリウマチ膠原病専門医を取得しており、ループス腎炎や血管炎などの膠原病合併腎臓病、CKD患者の膠原病治療などの、腎臓内科とリウマチ膠原病科が融合した全人的集学的治療を行っていることも特徴です。さらに、当センターは、慢性腎臓病、糖尿病性腎臓病、多発性嚢胞腎、IgA腎症、透析、薬物性腎障害など多くの分野で公的研究・学会研究を含む国内共同研究、国際共同研究に参加し、新たな知見を研究論文として数多く報告しており、最新の知見をいち早く皆様に還元できることも特徴の一つです。
是非一度ご来院いただき、お気軽にご相談いただければと思います。

扱う疾患

糖尿病性腎臓病

糖尿病性腎臓病は糖尿病による高血糖が長年続くことにより生じる慢性腎臓病(CKD)の一つで、透析導入の最大の原因疾患です。早期にはアルブミン尿(蛋白尿)が出現し、その後アルブミン尿の増加とともに腎機能が徐々に低下していくのが典型的な経過ですが、最近の研究では、アルブミン尿が出現しなくても腎機能が低下するタイプがあることが分かって参りました。また、早い段階で血糖管理・アルブミン尿管理・脂質管理・血圧管理・食事管理などの適切な治療を行うことで、十分克服可能な疾患であることも分かってきております。自治体や医師会が中心となって実施されるアルブミン尿検診は、糖尿病性腎臓病克服のために非常に重要です。糖尿病性腎臓病は、高血糖、高血圧、脂質異常、肥満などが複雑に絡んでいることから病型は多彩であり、患者さん一人一人にあった治療を適切に行っていく必要があります。当センターは豊富な経験から、皆様に最適な治療法をご提供いたします。

IgA腎症

IgA腎症は、検診などで血尿やたんぱく尿などの症状が現れる慢性腎臓病の主な原因疾患の一つです。風邪を引いた数日後に肉眼的に血尿を呈することもあります。確定診断には腎生検が必要で、約1週間の入院を必要とします。多くは無症状のため、治療しないまま放置すると透析治療が必要な腎不全に至る方が多い病気ですが、最近の研究では口蓋扁桃腺摘出+ステロイドパルス併用療法で病気が寛解する可能性があることがわかってきました。 当院は年間約200例の腎生検を行っており、1300例を超えるIgA腎症の治療実績があります。また耳鼻咽喉科と密に連携し、病気の活動性が高い方を中心に口蓋扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法を積極的に行っており、研究論文等で国際的にも評価を頂いております。

多発性嚢胞腎

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、最も頻度の高い遺伝性腎疾患です。加齢とともに両方の腎臓に多くの嚢胞ができて徐々に大きくなる過程で腎機能の低下を伴います。30~40歳頃までは無症状で経過される患者さんが多いですが、徐々に腎機能が低下することで60~70歳頃までに約半数の患者さんにおいて透析が必要となると言われています。
近年、ADPKD患者さんの病気の進行を遅らせることのできる可能性のある薬剤トルバプタンが保険診療で使用できるようになりました。この薬剤以外にも、厳格な血圧管理、食事療法や適切な水分摂取などが進行を抑えるために重要だということがわかってきました。また、これらの治療は若年から行った方がより効果が高いと言われております。
合併症としては、肝臓に多発する嚢胞、高血圧、心臓弁膜症、大腸憩室や脳動脈瘤が知られており、特に脳動脈瘤はくも膜下出血(脳出血の1つ)という命に関わる重篤な病態に関与するため重要です。頭のMRI画像検査を行い、脳動脈瘤を認めた場合は、当院の脳血管内治療科・脳神経外科と連携して最適な診療をさせて頂きます。また嚢胞(通常は水が溜まっています)に細菌が感染して熱が出てしまう嚢胞感染症という状態を引き起こした場合は、抗菌薬による治療が必要となりますので入院加療をさせて頂きます。嚢胞感染症が難治性であったり繰り返したりしている場合は、感染している(膿の溜まってしまった)嚢胞を特定し、ドレナージ術をさせて頂くこともあります。また、腎臓または肝臓の嚢胞が異常に増大してしまい、お腹を圧迫して腹痛が出ていたり食欲が落ちたりしてしまっている場合は、原因となっている巨大嚢胞に対してドレナージ術をさせて頂くこともあります。透析をされているADPKD患者さんで、大きくなっている腎臓を小さくしたいという希望の方・腎動脈塞栓術を希望される方は分院腎センター内科と連携をとって診療させて頂きます。

トピックス

ADPKD患者さんの診療において、遺伝学的背景を知る(遺伝学的検査を行う)ことの重要性が徐々にわかってきました。ADPKDは常染色体優性遺伝という遺伝形式をとりますので、ご家族に同じような病態の方がいらっしゃる場合が多いですが、ご家族の情報がはっきりしない方では、遺伝学的検査を行うことでADPKDであるかどうかを判断するうえで重要な情報となります。また患者さんのもっている原因遺伝子がどう変化しているかによって、病気の進行具合やトルバプタン治療効果を予測できる可能性もわかってきました。
そのような現況から、遺伝学的検査を希望される患者さんには、「腎膠原病遺伝外来」にて遺伝学的検査をさせて頂きます(遺伝カウンセリングも行います)。また遺伝学的検査は希望しないがADPKDという病気について詳しく話を聞きたいという患者さんとそのご家族に対して遺伝カウンセリングをさせて頂くことができます。遺伝学的検査・遺伝カウンセリングは自費診療となります。

→嚢胞腎(PKD)遺伝カウンセリングのご案内はこちら

また、遺伝学的検査や遺伝カウンセリングは希望しないが、多発性嚢胞腎に関してじっくり詳しく聞きたいという方は「多発性嚢胞腎説明外来」を受診ください。どんな方でも受診することができ、多発性嚢胞腎について理解を深めることができます。こちらも自費診療で、医師面談30分・看護師面談30分です。場合によっては医師面談60分です。

→多発性嚢胞腎について理解を深めるための説明外来についてはこちら

遺伝性腎疾患

嚢胞性腎疾患とは、前述の常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)のほかにも様々な疾患があります。遺伝的要因によって腎臓に嚢胞が形成されるそのほかの疾患としては、常染色体劣性多発性嚢胞腎(ARPKD)、ネフロン癆、髄質嚢胞腎(家族性若年性高尿酸血症腎症(UMOD腎症)など)、髄質海綿腎(medullary sponge kidney)、口顔指症候群1型(OFD1)などが知られています。また、尿潜血・腎機能障害・難聴などを伴うアルポート症候群、腎機能障害・心肥大・四肢疼痛などを伴うファブリー病、腎性尿崩症などがあります。
私たちは、豊富な臨床経験をもとに、これらの多くの遺伝性腎疾患について「腎膠原病遺伝外来」などで専門的な治療・カウンセリングを行っております。

トピックス

アルポート症候群、ファブリー病や腎性尿崩症が疑われる患者さんにおいて、遺伝学的検査が保険診療で可能となりました。
遺伝カウンセリングを希望される患者さんには、「腎膠原病遺伝外来」にて遺伝カウンセリングをさせて頂きます。遺伝カウンセリングは自費診療となります。

→遺伝性腎疾患遺伝カウンセリングのご案内はこちら

腎臓リハビリテーション

近年、慢性腎臓病(Chronic renal disease:CKD)患者におけるリハビリテーションが注目されています。現在、日本の成人8人に1人がCKD患者と言われており、透析人口は約34万人にまで膨れ上がりました。また新たに透析を始める年齢が高齢化し、癌や心臓病、脳梗塞など複数の合併症を有している患者さんも増加しています。中でもCKD患者さんは心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高く、これらは死亡に繋がる恐れがあります。これまでは、腎臓が悪い=安静、というのが常識とされていましたが、むしろ身体活動の低下が心筋梗塞や脳卒中などのリスクを上げる要因であること、軽い運動は腎機能を悪化させないこと、むしろ透析になるのを遅くする効果があることなどが最近の研究で分かってきています。しかし単純に運動すればいい、というわけではありませんし、知識がないとなかなか何をどうしていいかもよく分からないと思います。腎臓リハビリテーションとは「腎疾患や透析医療に基づく身体的・精神的影響を軽減させ、症状を調整し、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として、運動療法、食事療法と水分管理、薬物管理、教育、精神・心理的サポートを行なう、長期にわたる包括的なプログラム」と定義されています(日本腎臓リハビリテーション学会より)。そのためリハビリテーション、という名前が付いていますが、ただ単純に運動をすれば良い、というわけではなく、食事管理やお薬の調整、腎臓病に対する知識の共有、透析医療に対する漠然とした不安などへのサポートも同時に行なっていくこともとても重要です。患者さんと医療提供者が同じ方向を向き、協力しあうことで、患者さんの延命や生命予後の改善に留まらず、より有意義な人生を送ることが出来るようケアを提供していくことがこのプログラムの根幹をなすものとなります。
当院では、患者さんを中心に腎臓内専門医と看護師、管理栄養士、理学・作業療法士が連携し、腎臓病に対する一般的知識や栄養管理の指導、運動療法のメニュー作成・指導などをオーダーメイドに行ない、外来ではゆっくりできないような医師や看護師、ソーシャルワーカーへの相談など身体的、社会的、精神的な包括的プログラムを提案しております。期間は1~2週間の入院診療となります。退院後は、指導内容を元に自宅で実践を行なって頂き、外来で定期的に血液尿検査、栄養指導、筋力測定などを通じ、医師、管理栄養士、理学・作業療法士よりフィードバックをさせて頂いています。ご興味がある方は、腎センター内科医師にご相談ください。

膠原病関連腎臓病

当院では腎臓内科、リウマチ膠原病科が同じ診療科で診察をしています。全身性エリテマトーデス、血管炎、全身性強皮症など腎臓病が合併しやすい膠原病の診断(腎生検含む)から治療まで腎臓専門医、リウマチ膠原病専門医の2つの視点で診療します。
全身性エリテマトーデスの分類基準の項目に蛋白尿があり、腎炎の程度が治療方針に関わるため腎生検による診断が重要です。当院では尿所見異常が少しでもある患者さんは積極的に腎生検を行いループス腎炎の診断を行っております。
顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症などの小型血管炎は腎臓や肺、神経、皮膚などの小さな血管に炎症がおこる病気で、腎機能が急速に悪化し透析に至ることがあります。発症早期に腎生検を行い診断することで透析を回避し腎機能悪化を防ぐことができます。
全身性強皮症は皮膚や内臓が固くなる病気ですが、一部に急速に腎機能が悪化する腎クリーゼという病態があります。抗RNAポリメラーゼ抗体が陽性の方に多くこちらも早期発見により腎機能悪化を防ぐことができます。
その他の膠原病でも腎病変が合併する割合は多く、腎病変が合併しなくても治療による腎機能障害など膠原病と腎臓は密接にかかわっており当科では多角的な視点で膠原病診療を行っております。

IgG4関連疾患、Castleman病、TAFRO症候群、POEMS症候群

これらの疾患は名前を聞いたことのない方ばかりだとおもいますが、原因不明の腎機能障害の中から腎生検などで診断されることがあります。当科では上記のような診断の難しい稀な疾患の診療経験も多く、適切に対応することが可能です。

透析療法・シャント管理

腎機能 (eGFR)が30ml/ 分/1.73m2に低下した時点で、腎代替療法、すなわち透析療法 (血液透析と腹膜透析)あるいは腎移植について考えておく必要があります。腎代替療法選択はその後の患者の生活の質、ライフスタイルに影響を与えるだけでなく、生命予後にも大きく影響するため、その選択には十分な時間をかける必要があります。「腎代替療法選択外来」では専門看護師による血液透析、腹膜透析さらには腎移植の説明をおこなっております。当院では血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれも対応可能で、患者さんに最も適した方法を選択することができます。また生体腎移植では、透析に導入することなく移植手術を受ける「先行的腎移植 (PEKT)」も増加しており、早くから腎移植相談外来を受診していただき腎センター外科と協力し準備を進めていきます。
血液透析を選択された場合、シャント手術を行います。ご自分の血管でシャントをつくることができない場合は、人工血管を用いた「人工血管留置術」、動脈を直接穿刺する「動脈表在化手術」、カテーテルから血液透析をできるようにする「長期留置カテーテル留置術」など様々なブラッドアクセス手術に対応しています。
シャント血管は狭窄や閉塞してしまうことがあります。その際も経皮的血管拡張術や血栓除去術など、緊急でも対応できるような体制をとっています。
透析療法は血液浄化センターで行います。34台の透析ベッド(うち2部屋が個室)を有し、通院透析・入院透析の双方に対応しています。全装置がオンライン血液ろ過透析療法(online HDF)に対応可能です。また、急性期医療部門 (ICU、CCU、SCU)での急性血液浄化療法も担当し、自己免疫疾患・神経疾患・消化器疾患など腎臓病以外の病気に対する特殊血液浄化療法も行っております。透析装置のほかに持続緩徐式血液浄化装置、血漿交換療法装置、顆粒球除去装置、エンドトキシン吸着装置、直接血液吸着装置、移動式RO装置などを装備されており、あらゆる血液浄化法に対応可能となっています。

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