間脳下垂体外科

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メッセージ

当科は機能性下垂体腫瘍 (腺腫)(先端巨大症、プロラクチノーマ、クッシング病、TSH産生下垂体腫瘍)、非機能性下垂体腫瘍 (腺腫)、ラトケ嚢胞、頭蓋咽頭腫、下垂体炎、胚細胞性腫瘍(ジャーミノーマ等)、髄膜腫、脊索腫、神経膠腫等の間脳下垂体疾患の診療に特化し、専門性の高い、より高度な医療を集約的に行うことを目的に、国内で最初に設立された診療科です。内分泌内科、小児科や病理などの関連各科と密に連携し、一例一例の患者様に最も適した医療(オーダーメイド医療)を安全に提供することを第一に毎日の診療にあたっています。

扱う疾患

間脳下垂体外科は脳神経外科のなかで主に下垂体腺腫(下垂体腫瘍)をはじめとした下垂体近傍疾患の外科的治療を中心に診療を行う科で、以下のような疾患を主な対象疾患としています。

下垂体・下垂体近傍疾患

成長ホルモン産生下垂体腫瘍(腺腫)(先端巨大症)

成長ホルモンの過剰により、鼻や手足など体の先端が肥大してくる病気です。放置すると、頭痛や高血圧、糖尿病、いびき、多汗、心疾患や脳疾患や腫瘍など合併しやすいことがわかっています。まずは、手術により摘出することで治癒する可能性があります。手術により腫瘍が残存しても、薬物でホルモンをコントロールすることが可能です。

プロラクチン産生下垂体腫瘍(腺腫)(プロラクチノーマ)

高プロラクチン血症により女性では月経不順、無月経、不妊、乳汁分泌が、男性では性欲低下やまれに女性化乳房がみられます。治療の第一選択は、カベルゴリンという内服薬の治療です。ごく一部の例に対してのみ手術を行なっています。

ACTH産生下垂体腫瘍(腺腫)(クッシング病)

コルチゾール(副腎皮質ステロイドホルモン)が過剰に分泌される影響で、多彩な症状を引き起こします。皮膚が薄くなり、やがておなかが出て、太ももが細くなってきます。さらに顔もむくんだ顔になります。その他、多毛、にきび、腹部や臀部に妊娠線の様なすじができます。進行すると感染に弱くなり、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症などの合併症を発症します。治療は、手術が第一選択です。

TSH産生下垂体腫瘍(腺腫)

甲状腺刺激ホルモンの過剰により甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが増加するため、動悸、汗が増えたりします。外科的な摘出が第一の治療です。

非機能性下垂体腫瘍(腺腫)

特定のホルモンを分泌しないため、ある程度大きくなり視野障害が出てから診断がつくか、脳ドックなどキッカケに無症状のものが見つかることがあります。小さなものは、経過観察の方針としています。

ラトケ嚢胞

胎生期のRathke's pouchという胎児期の臓器になる前の構造から発生する良性の嚢胞性腫瘍です。当院では、視野障害をきたす圧迫を生じている場合、頑固な頭痛、稀にホルモンの分泌機能障害をきたしている場合にも手術を行っていますが、ほとんどのケースでは経過観察で問題はありません。

頭蓋咽頭腫

脳からぶら下がる下垂体の茎の部分に発生する腫瘍です。頭痛、視力視野障害、ホルモンの分泌機能障害で発症します(疲労感、低身長など)。治療は外科手術、放射線治療、がありますが、第一選択は、手術による摘出です。当院では経鼻腫瘍摘出術を積極的に行っています。腫瘍近くには重要な視床下部や視交叉、下垂体茎があるため、全摘できないこともあります。しかしながら残存腫瘍や再発に対しては放射線治療が効果があり、腫瘍のコントロールは可能です。

下垂体炎

下垂体にリンパ球などの細胞が浸潤し炎症が起こる病気です。リンパ球性下垂体前葉炎、リンパ球性汎下垂体炎や、IgG4関連下垂体炎などがあります。いずれも、炎症により下垂体組織が破壊されるために、各種ホルモンの分泌低下症状(倦怠感、尿崩症)や頭痛、稀に下垂体腫大による視野障害をきたします。治療は、足りないホルモンの補充療法が中心となりますが、下垂体が腫大して視神経を圧迫した場合など、ステロイド治療を行います。

その他の稀な疾患

下垂体機能低下症、鞍結節部髄膜腫、胚細胞腫、下垂体細胞種、顆粒細胞腫、下垂体癌、転移性下垂体腫瘍、下垂体卒中なども対象としています。

診療体制

当科では患者さんに最善の医療を提供できる様に内分泌内科医、小児内分泌科医の協力体制のもとで医療を行っています。また遠方や地方の患者さんにも我々の外科手術を安心して受けて頂ける様に、その近隣の内分泌科や脳神経外科と連携して術後のフォローが可能な診療体制をとっています。

その結果当科が設立された平成17年以降、既に2,300例以上の外科手術を施行して来ました。そして予後が不良で現在でも手術が最も効果的なクッシング病の手術は既に300例を越え、脳腫瘍の中でも手術が最も困難な頭蓋咽頭腫の手術は既に300例に達しその9割で非侵襲的な経鼻手術を行って来ました。

手術は内視鏡下経鼻的に行い、術中モニタリングを使用し、確実かつ安全な手術が行えるよう心がけています。また巨大腫瘍、硬い腫瘍、浸潤性腫瘍、再手術など難治例の手術も拡大経鼻法や経鼻手術と開頭術を同時に行う手術などを駆使しつつ、どのような症例にでも対応可能な術式を選択し治療に邁進しています。

当科ではメール相談を受け付けております。下垂体疾患に関してお悩みの方は、何でもご相談ください。
ご相談はこちらのページから 
  

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