臨床倫理の基本指針

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臨床倫理の基本指針

当院の「基本理念・基本方針」「患者さんの権利」に基づき、全ての職員が臨床における様々な問題に対応し、患者にとって最も望ましい医療を適切かつ十分に提供することを目的として、以下3つの原則に則り、臨床における具体的な倫理的課題への対応に関する指針を定めます。

  1. 【人権の尊重】患者の人権を尊重することを基本とし、患者と医療者が協力し、患者の利益を追求するための最善の医療を提供します。
  2. 【価値観の尊重】患者の価値観を尊重し、生命倫理に関する関係法規や各種ガイドライン及び院内規程に従い医療を提供します。
  3. 【倫理的問題に対する対応】倫理的な課題については、院外有識者を加えた臨床倫理審査委員会や、院内の多職種で構成される臨床倫理コンサルテーションにおいて、総合的に十分に検討します。

具体的な倫理的課題への対応について

① 意識不明など自己判断能力の不足~不能患者への対応について

意識不明や自己判断能力がない患者には、家族等の適切な意思決定代理者の同意を得て、医療に必要な判断を決定をします。また緊急時に意思決定代理者の判断も得られない場合や家族等の意思決定代理者がいない場合には、患者にとって最善の利益となる方針を多職種で検討し医療を提供します。

② 検査・治療・入院の拒否や指示不履行について

検査・治療・入院等の医療行為の必要性やそこから得られる利益と、それらを実施しない場合の不利益について、患者に十分に説明を行います。患者がその医療行為を拒否した場合は、患者の自己決定を尊重します。
ただし、感染症法等の規定により治療拒否が制限される場合などの例外もあります。

③ 信条や宗教的理由などによる輸血拒否について

治療の際に輸血が必要になる可能性があります。可能な限り無輸血での治療に努力いたしますが、「輸血以外に救命手段がない事態に至った場合には輸血する」という「相対的無輸血」を基本方針としております。輸血が必要となる可能性が高い状況で、なお輸血を希望されない場合には患者さんには、転院をお勧めしております。
また、輸血を行う際はできる限り事前にご説明しますが、救急搬送されてきた場合や予期せぬ病状急変など、緊急の際には事前に十分な説明ができずに輸血を行わざるをえない場合も想定されます。さらに、18歳未満の未成年者に対し輸血が救命に必要な場合には、親権者の同意が得られずとも輸血を行います。

④ 行動制限について

患者の生命を保護すること及び重大な身体損傷を防ぐために身体拘束や行動監視などの行動制限以外の方法がなく、やむを得ない場合に限り、行動制限適正化マニュアル(2024年)に従い行動制限について適切に対応します。

⑤ 終末期医療について

終末期の医療・ケアについては、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(2018年:厚生労働省)」に従い、患者・家族等と相談のうえ、患者の意思に基づいた医療を行います。
また、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を緩和し、精神的・社会的援助も含めた総合的な医療を提供します。

⑥ 蘇生措置不要(DNAR)、延命治療不要の指示について

蘇生措置や延命治療の有効性について、患者本人または家族などの意思決定代理者に対して、十な説明を行い、蘇生措置や延命治療を行わないことに同意された場合は、その意思を尊重します。いかなる場合においても積極的な安楽死や自殺幇助はいたしません。

⑦ 多様な性の尊重について

性的指向や性自認、性表現によって患者や職員を差別することはありません。診察の環境、入院環境などの不安や悩みは相談窓口を設けております。入院中も不安や悩み、不便な点がありましたら遠慮なく職員に申し出ください。悩みや要望は様々想定されますので、その都度個別に対応させていただきます。
 相談窓口:本院2階 患者サポートセンター内、分院外来 患者相談窓口
 職員:本院・分院臨床倫理委員会、分院総務課長

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