リウマチ膠原病科

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メッセージ

リウマチ膠原病は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、血管炎症候群、自己炎症性疾患など多岐にわたりますが、全身性疾患であることは共通しています。私たちは常に”全身を診る診療”を心がけており、当院の特徴である密な他科専門家との連携を生かしながら、全人的集学的治療を行っております。またすべての当科スタッフは、リウマチ専門医のみならず腎臓専門医を取得しており、ループス腎炎、血管炎症候群、CKD患者の膠原病治療など、腎臓内科とリウマチ膠原病科が融合した診療を得意としていることも特徴の一つです。また、私たちは一人一人の患者さんに最適な関節リウマチ診療を心がけており、関節エコーやMRIなどを利用した関節リウマチの”見える化”を進めているのも特徴の一つです。
リウマチ膠原病の寛解のためには、全身性疾患として早期発見、早期治療が重要です。どんな些細な症状もご相談下さい。

扱う疾患

関節リウマチ

関節リウマチは手足の関節が腫れて痛くなる病気ですが治療せずに放置すると関節の変形が起こります。一昔前は痛みをコントロールするお薬が主体で関節破壊の進行を抑制する有効な手段がありませんでしたが現在は第一選択となるメトトレキサートや生物学的製剤(主に注射薬、最近は内服のお薬も発売されています)などの効果が確実で関節変形を抑制するお薬が使用できるようになり予後が改善しております。現在(2020年7月時点)700名程度の関節リウマチの患者さんが当院に通院しており、約4割の患者さんに生物学的製剤を使用しています。関節リウマチ患者さんの痛みをとり、通常の生活を不自由なく送ることができる、関節変形の進行を抑制する、QOL(生活の質)を改善することを目標に治療を行います。また、関節リウマチは肺合併症が多く、呼吸器内科の医師とも連携を取り合って診療にあたっております。
ただ、関節痛の原因のすべてが関節リウマチとは限りません。リウマチ性多発筋痛症、脊椎関節炎、その他の膠原病、変形性関節症、更年期障害などさまざまな原因で関節痛が起こります。当科では関節痛や関節のこわばりの原因を関節エコー(年間200件程度施行)や関節MRIなどを用いて診断します。関節痛、こわばりがありリウマチかな?と心配になったら受診してください。

全身性エリテマトーデス(SLE)

現在約200名近くのSLE患者さんが当院に通院しています。当院はリウマチ膠原病科、腎臓内科が同じ診療科で診察をしておりSLEの代表的な合併症であるループス腎炎を疑う患者さんには積極的に腎生検を行い多角的な視点から診断治療を行っております。最近はSLE治療もステロイドだけではなく免疫抑制剤や生物学的製剤、ヒドロキシクロロキンなど選択肢が増えており、ステロイド減量中止や合併症の抑制、QOL(生活の質)改善を目標に治療を行っております。

全身性強皮症

現在約100名近くの全身性強皮症の患者さんが当院に通院しています。全身性強皮症は皮膚や内臓が固くなる病気ですが症状や合併症の程度はさまざまです。合併する肺高血圧症は循環器内科、間質性肺炎は呼吸器内科と協力して正確な診断および最新の治療を行っております。一部に急速に腎機能が悪化する腎クリーゼという病態があります。抗RNAポリメラーゼ抗体が陽性の方に多くこちらも早期発見により腎機能悪化を防ぐことができます。

皮膚筋炎/多発筋炎

現在約30名近くの皮膚筋炎/多発筋炎の患者さんが当院に通院しています。皮膚と筋肉に炎症を起こす病気で合併症としては間質性肺炎が代表的です。近年自己抗体から疾患の特徴が予測できるようになりましたが、初診時は神経内科医に筋生検を施行してもらい正確な診断を行っています。時に致命的な合併症となる間質性肺炎の治療は呼吸器内科医と協力し発症早期から多剤併用療法を行っております。

シェーグレン症候群

涙腺と唾液腺を標的とする自己免疫疾患で目や口腔内乾燥が主な症状となります。対症療法となるお薬を使用することが多いですが腎臓、肺などの臓器に障害が起こるとステロイド等の免疫を抑制するお薬を使用することがあります。腎障害としては間質性腎炎、腎尿細管製アシドーシスを合併することがあります。重篤な臓器障害がない場合でも乾燥症状による生活の質の低下がみられることがあり多角的な評価を行い診療いたします。現在50名程度の方が当院に通院されています。

混合性結合組織病

全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎の一部の症状を呈し、抗U1-RNP抗体が陽性となる病気です。手指の腫脹やレイノー症状が起こることが多く合併症としては肺高血圧が代表的です。症状は個人によって異なり多彩ですが、肺高血圧症、無菌性髄膜炎、三叉神経障害の合併がみられることがあり独立した疾患と考えられています。腎障害はまれですが膜性腎症が起こることがあります。当院には20名以上の患者さんが通院されています。

ANCA関連血管炎

顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症が含まれ約50名程度の患者さんが当院に通院しています。小血管に炎症を起こす病気であるため腎臓、肺、神経、皮膚が高率に侵されます。腎機能が急速に悪化し透析に至ることがあり、発症早期に腎生検を行い診断することで透析を回避し腎機能悪化を防ぎます。血管の病気であるため全身に多彩な症状を来たすことから、各科と協力して診断治療にあたります。

結節性多発動脈炎

中等度の血管径の動脈に炎症が起こる病気です。皮膚、神経、消化管、腎臓などに病変が起こります。現在20名程度の患者さんが通院しております。血管の病気であるため全身に多彩な症状を来たすことから、各科と協力して診断治療にあたります。

高安動脈炎/巨細胞性動脈炎

大血管に炎症が起こる病気で高安動脈炎は大動脈とその分岐に、巨細胞性動脈炎は側頭動脈炎とも言われ側頭部の動脈に炎症が起こることが多い病気です。高安動脈炎は症状が発熱、全身倦怠感、体重減少のみのことも多く、しばしば不明熱とされ診断に時間がかかることがあります。巨細胞性動脈炎は失明のリスクがあり治療を急ぐことがあります。当科では様々な画像診断を行い早期診断治療に努めています。2018年4月からPET(画像検査)が保険適応となり診断、治療の精度が向上しました。また2017年8月からトシリズマブという生物学的製剤が保険適応になり治療の選択肢が増え、ステロイドの早期減量を目指して治療を行っています。当院には25名程度の患者さんが通院されています。

成人スチル病

成人スチル病はリウマチ性疾患の中でもまれな病気のひとつですが当院には30名程度の患者さんが通院されています。不明熱として他の科を受診される方も多く、不明熱をきたす他の病気を除外して診断されます。関節痛や発熱時の皮疹が特徴的な症状です。ステロイドを中心とした治療を行いますが免疫抑制剤や、2019年5月から保険適応になったトシリズマブ(生物学的製剤)を併用し早期寛解を目指し重篤な合併症を予防します。

ベーチェット病

口内炎、外陰部の潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つの症状を主症状とする全身性炎症性疾患です。消化管、中枢神経、大血管に障害が起こることもあります。一過性で自然軽快することもありますが、ステロイドや生物学的製剤を使用しなければ活動性がコントロールできないこともあります。当院で定期的に通院されている患者さんは10名程度です。

その他

地中海熱、特発性多中心性キャッスルマン病、TAFRO症候群、サルコイドーシス、原発性抗リン脂質抗体症候群、SAPHO症候群、RS3PE症候群、結晶性関節炎、壊死性リンパ節炎、無菌性膿瘍症候群などの診療実績があり、稀な疾患を含めた幅広い自己免疫疾患、自己炎症性疾患の診療を行っております。

診療体制

当院は、日本リウマチ学会の教育施設に認定されており、リウマチ専門医、指導医による専門的な診療を行なっております。
関節リウマチは、様々な関節の腫れや痛みを来たし、放置すると関節が破壊されてしまう病気です。関節破壊の少ない早期に診断し、早期に治療を開始するのが基本です。また、関節リウマチなどの自己免疫疾患は、関節病変のみならず、心臓、肺、腎臓、消化管、神経などの全身臓器に合併症を来たします。関節炎の治療だけでなく、こうした合併症の検索、治療がとても重要です。当院には、十分な検査機器、診療体制が揃っております。当科医師は腎センター内科医師も兼任しており、腎疾患などの合併症についても、専門的な治療が行えます。
関節リウマチなどの膠原病に対しては、現在は使用できる薬剤が非常に豊富にあり、従来の抗リウマチ薬では十分に効果がなくても、新しい薬剤を使うことで、痛みから解放され、関節破壊を抑えられた方が多くいらっしゃいます。特に、生物学的製剤は高価ではありますが、高い治療効果が見られます。しかし、新しい薬剤には、重篤な副作用もあり、常に副作用に注意しながら、投与する必要があります。我々は、十分な経験を元に、生物学的製剤や免疫抑制剤を含む積極的な治療を行なっております。

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