消化管センター外科

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大腸癌、胃癌など消化器系の疾患を中心に手術を行っております。

平成26年の手術件数は大腸切除70件(腹腔鏡 全例)、胃切除11件(腹腔鏡5件)でした。 また鼠径ヘルニア、虫垂炎、肛門疾患(内痔核・痔瘻など)、内視鏡下胃瘻造設(PEG)などの手術も行っています。平成26年の手術件数はそれぞれ、鼠径ヘルニア50件(腹腔鏡26件)、虫垂炎9件(腹腔鏡 全例)、肛門疾患7件、PEG 6件でした。

平成26年には、年間263件の手術を行いました。

腹腔鏡下手術を得意としています。

的場部長、黒柳部長、上野医長、森山医長、戸田医師の5名が内視鏡外科学会技術認定医の資格を取得しております。
平成26年には、大腸癌手術・虫垂炎手術の全例を腹腔鏡下に行い、胃癌手術・鼠径ヘルニア手術・腸閉塞手術などにつきましても、適応例には積極的に施行しております。

大腸癌腹腔鏡下手術について

従来の手術では20cm前後の開腹創が必要とされましたが、腹腔鏡下手術を行うと、4cmから6cm程度の開腹創で済みます。これが患者さんにもたらす効果は、開腹創の縮小化→手術直後の痛みの軽減→早期離床→排ガス、排便の早期化→早期の食事開始→早期退院となり、これが「低侵襲手術」と言われる理由です。さらに症例によっては、現在SILSと言われる(穴を空ける場所を一つのみにする手術)おへその小さな創で手術を行う方法もあります。

さらに当科では、腹腔鏡下手術の利点は低侵襲性だけではなく、その視野の良さから開腹手術よりも精緻な手術が可能であることと考えています。これを後押ししたのが腹腔鏡画像のハイビジョン化でした。当科でも2010年4月よりハイビジョン腹腔鏡を導入し、肉眼で見えないものが見えるようになり、手術の精度が向上しました。特に狭い骨盤内での手術となる直腸癌の手術において、ハイビジョン腹腔鏡の良好な視野により、根治性を保ちながら周囲の自律神経が温存する、という質の高い手術が可能となっています。

大腸癌腹腔鏡下手術の適応

当院は大腸癌全例を腹腔鏡下手術の適応としております。
一般に大腸癌腹腔鏡下手術の適応とならない場合には、癒着例、他癌合併例、腸閉塞例、他臓器浸潤例、腹膜炎例、心疾患や呼吸器疾患の合併例などがあり、当院ではそのような時も多くの場合は腹腔鏡下手術を行います。
癒着例とは、多くは開腹手術の既往があり、おなかの中の癒着(臓器同士のくっつき)が強い例で、手術時間は延長しますがほとんどは腹腔鏡下手術が可能です。癒着の剥離が困難な場合や長時間を要する場合には開腹手術を行います。
他癌合併例とは、おなかの中の他の癌-胃癌などを同時切除する場合ですが、開腹創の縮小化が図れる場合は腹腔鏡下手術を行います。
腸閉塞例は、大腸癌のため腸閉塞状態で手術となる場合で、おなかの中が拡張した腸管で満たされているため適応となりませんが、減圧処置が可能であった場合は適応となります。
他臓器浸潤例は、大腸癌が周辺臓器に浸潤して大きな腫瘍塊を形成していたり、浸潤臓器の合併切除が必要であったりするため、腹腔鏡下手術が困難ですが、多くの症例では腹腔鏡下手術が可能です。
腹膜炎例は、腹膜炎の状態で緊急手術となる場合で、迅速な対応が必要な場合、適応とならない場合があります。
心疾患や呼吸器疾患等の合併症例で、可及的に迅速な手術が求められる場合は適応となりませんが、その低侵襲性から、腹腔鏡下手術を行う利点が多いと判断される場合は積極的に腹腔鏡下手術を行います。

大腸癌腹腔鏡下手術に対する考え方について

大腸癌腹腔鏡下手術は近年、日本の大腸癌手術の40%を占めるほどに普及してきましたが、まだ「特別な手術方法」と捉えている向きがあります。確かに大腸癌腹腔鏡下手術は高度の技術を要するのですが、当院では経験の積み重ねによって、「高度の技術」が「通常の、日常的な技術」へと変化しています。
大腸癌腹腔鏡下手術は、大腸癌の手術を行うに当たっての一つの手段、手技に過ぎず、特別、特殊な手段、手技ではありません。もちろん、大腸癌腹腔鏡下手術という手段、手技を用いずとも大腸癌の手術を行うことはできます。
大腸癌腹腔鏡下手術の目的は、その導入当初は「開腹創の縮小化」を初めとした低侵襲手術を実現することにより、術後の苦痛を少しでも和らげ、術後在院日数を短縮することが第一でした。しかし、多くの経験を積んでくると、大腸癌腹腔鏡下手術手技が従来の開腹手術手技よりも安全、容易、確実に出来るようになってきました。脾弯局部や骨盤内直腸の剥離、授動術がそれです。特に狭い骨盤内で行われる直腸癌の手術で、良好な視野を得ることができる腹腔鏡はその利点を最大限に発揮すると考えています。

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