整形外科

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ごあいさつ

 虎の門病院分院 整形外科は、部長以下常勤医4名、非常勤医2名(日本専門医機構認定整形外科専門医4名)で診療にあたっています。当院は長年にわたり地域に根ざした医療を心がけていますが、未だに、近隣にお住まいで当院を受診される患者様に「長年住んでいるのに一般外来をしているとは思わなかった」「療養型施設だと思っていた」などと言われることがあります。近隣の開業されている先生方におかれましても、そのようなイメージを持たれている先生がおられるかもしれません。そのようなイメージを何とか払拭しようと診療に取り組んで参りました。お陰様で、入院患者数、手術症例数は十数年前と比べものにならないくらい増加しておりますが、スタッフ一同、近隣の先生方からの紹介には最優先に対応するように指導しております。何卒よろしくお願い申し上げます。

当科の取り組み

 当科ではまず、全ての整形外科疾患に対して、患者様の年齢、性別、職業、活動性を考慮し、十分な保存治療を行い、まずは疾患に関連する運動療法、生活指導を行うように心がけております。回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟も備えており、手術を必要としない患者様で、先生方が保存治療をお勧めされるような場合でも、ご紹介頂ければ対応いたします。もちろん、手術が必要と思われる患者様は、各分野の専門医が診療を担当しております。特に末梢神経絞扼性障害に対する手術治療数(手根管症候群、肘部管症候群など)、変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術手術数は神奈川県内でも有数となっております。

 慢性関節リウマチ患者の手術治療は生物学的製剤などの薬物治療の進歩により、十数年前とは様変わりしております。ムチランス変形を呈する患者様はほとんどいなくなりましたが、患者様の高齢化に伴う人工関節手術などはむしろ増加しています。上肢の滑膜炎、関節症患者などは減ってはおりますが、消失したわけではありません。手指の関節症、腱断裂などの治療は特殊化・専門化し、どこの病院でも対応できるわけではありませんが、当科では対応可能です。

 当院では、日本で血液透析が始まった当時から腎センターを設立し、腎不全患者様の治療に長年にわたり対応してきました。そのため、特に血液透析関連整形外科疾患に対する手術治療にも、積極的に取り組んで参りました。血液透析の技術の進歩により、慢性腎不全患者の生命予後は飛躍的に改善していますが、同時に高齢化が更に進行しています。長期血液透析によるアミロイドーシスは様々な整形外科疾患を生じます。当然ながら、脊椎疾患、関節疾患に対して手術治療を行った場合に、また、上肢末梢神経障害手術治療後、外傷などでさえも、すぐに退院して日常生活に戻れない患者様も大勢いらっしゃいます。ご紹介患者、当院かかりつけの患者様への受け入れから、ご自宅への退院、後方施設の斡旋まで責任を持って対応するのが当院の特徴だと考えています。

 術後のリハビリテーションは入院、通院で行っており、恵まれた設備、スタッフを生かし、患者さんが納得するまで行えるように心がけています。

当科で治療可能な整形外科疾患

変形性関節症

 変形性関節症は体中の様々な関節に生じ生活の支障となります。内服治療、注射療法などが有効な場合が多く、近年では再生医療も注目を浴びております。これらの保存的治療で改善が見込まれない場合は、ご自分の骨を生かした矯正骨切り術、人工関節手術などを行っております。当院では清潔度の高い手術室、術中出血回収装置、無菌ヘルメットなどを使用し合併症予防につとめています。人工関節センター、脊椎外科センターなどでは一人の患者様あたりの入院期間を短くし、早期に退院して頂き、病床の回転数を上げる必要があります。分院には関節センター、脊椎外科センターはありませんが、前述したとおり、回復期リハビリ病棟、地域包括ケア病棟を備えており、同じ担当医が術前説明、手術、リハビリを一貫して行うことが可能です。

脊椎疾患

 腰痛、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊髄症、神経根症。変形性脊椎症、良性脊髄腫瘍、後縦靱帯骨化症(OPLL)などの治療を行っております。脊椎疾患も多くの場合、入院、保存的治療を行うことにより改善が見られます。そのような対応を希望される場合にもご紹介に対応いたします。改善が見られない場合は手術治療を行います。専門医が可能な限り低侵襲手術(内視鏡治療)を行います。

末梢神経の病気・上肢の病気・外傷

 手の指がしびれる、足の指がしびれるなどの症状がある場合、脳卒中、脊椎疾患、糖尿病などの疾患以外にも、末梢神経の病気(手根管症候群、肘部管症候群、足根管症候群など)の場合があります。また変形性関節症は上肢にも発症します。当院では手外科専門医、指導医が常勤し、低侵襲治療(鏡視下手根管開放術など)を心がけており、手術数も神奈川県有数となっております。手指の外傷は専門性が高く、近隣のクリニックの先生方も手術治療が必要なのかどうかなど対応に苦慮されることもあるかと思います。お気軽に相談頂ければと思います。

外傷

 高齢者に多い大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折などのほかに一般的な外傷に対応しています。

四肢良性腫瘍

 骨軟部悪性腫瘍の治療は専門性が高く、専門診での集約的な治療が必要となりますが、良性腫瘍により病的骨折や、神経障害、美容上の障害を訴えておられる患者様もたくさん居られます。無理に手術をお勧めすることはありませんが、患者様と相談し、ご希望があれば手術治療で対応するように心がけています。

慢性関節リウマチ

 慢性関節リウマチの薬物治療は日進月歩であり、不治の病ではなくなっています。関節の破壊、変形による症状は保存治療(注射・ブロック・装具療法)、手術治療により、生活の質が向上する場合があります。お気軽にご相談ください。

血液透析関連整形外科疾患

 当院では血液透析に伴う整形外科疾患に関する治療経験が豊富です。血液透析患者は骨代謝が正常と異なることもあり、他医療機関では治療を敬遠される傾向がありますが、当科では以前より腎センター内科と協力しながら積極的な治療を行っています。

骨粗鬆症

 近年、骨粗鬆症がクローズアップされています。食事療法、運動療法による予防が大切ですが、投薬療法は有効なものが増えて選択肢が広がっています。当院では近隣の先生方から直接当院の骨密度検査の予約を取れるようにシステムを作成してきましたが、近年では近隣のクリニックでも腰椎、股関節の骨密度測定機器を備えておられることが多く、その役割は終わりつつあるようです。しかし、近年では病院には骨粗鬆症リエゾンサービスの中核となる事が求められています。リエゾンとは「連絡係」と訳され、診療におけるコーディネーターの役割を意味します。その目的は、最初の骨折への対応および骨折リスク評価と、新たな骨折の防止、また最初の脆弱性骨折の予防であり、サービスの提供対象は大腿骨近位部骨折例、その他の脆弱性骨折例、骨折リスクの高い例や転倒リスクの高い例、高齢者一般です。すでに英国、豪州、カナダではこのようなサービスが実施され、多職種連携による骨折抑制を推進するコーディネーターの活動によって、骨折発生率が低下し、トータルでは医療費も少なくて済むことが報告されています。

 リエゾンを作成するために必要なメンバーが骨粗鬆症マネージャーで、医師以外の骨粗鬆症に関する知識を有するメディカル専門スタッフです。具体的には看護師、理学療法士、薬剤師、臨床検査師、放射線技師、ソーシャルワーカーなどが対象となります。これらのスタッフで、入院患者・通院患者への個別の対応をすることにより、その患者に必要で継続可能な薬物治療を検討し、定期的に評価を行い、運動療法なども指導していくことになります。

 現在、当院でも通院患者、ご紹介患者への骨粗鬆症評価、治療を近隣の開業医の先生方とともに行っていく骨粗鬆症リエゾンサービスの立ち上げ中です。

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