腎センター内科
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令和2年に腎センターが変わりました。内科と外科、そして腎臓診療に関わるすべての専門家が一体のチームとして、腎疾患を持つ患者さんに適した治療を提供します。
腎炎の診断 |
1974年より7034件の腎生検を行っております。適切な診断と治療を行います。 |
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慢性腎臓病(CKD) |
透析を避けるために、看護師、栄養士とのチーム医療を行います。 |
多発性嚢胞腎、嚢胞肝 |
大きくなった嚢胞腎の肝臓と腎臓を血管内カテーテルによる動脈塞栓術を行い小さくします。 |
嚢胞感染 |
熱が下がらない嚢胞腎の嚢胞感染に嚢胞ドレナージを行います。 |
糖尿病性腎臓病 |
透析を避けるために、内分泌代謝科と協力して治療を行います。 |
膠原病の腎疾患 |
腎臓専門医、リウマチ膠原病専門医の2つの視点で治療を行います。 |
遺伝性腎疾患 |
Alport症候群など、他施設と連携し遺伝子診断を行います。 |
腎移植管理 |
腎臓外科とのチーム医療をおこなっております。 |
アミロイドーシス |
血液科とのタイアップを行いALアミロイドーシスに対する末梢血幹細胞移植を行っております。 |
抗癌剤の腎障害 |
腎生検を行える患者さんに積極的に診断を行います。 |
IgG4関連疾患 Castleman病 TAFRO症候群 POEMS症候群 |
診断の難しい稀な疾患にも対応いたします。 |
腎臓の機能が低下した状態を慢性腎臓病(CKD)と言います。日本人の約13%,、1330万人がCKDであると言われる国民病の一つです。
当院はCKDの原因の診断から治療、そして残念ながら透析に至った場合でもオンラインHDF、腹膜透析そして腎移植まであらゆる腎不全治療をチーム医療で行っております。
・腎臓が悪くなった時にどの治療法を選べばよいのか
を看護師、管理栄養士とのチーム医療で、患者さんの不安を和らげることが出来る様にサポートしていきます。
透析を始める時、シャントトラブルや透析患者さんの合併症、腎移植を受ける患者さんに対して腎臓内科と腎臓外科のタイアップを行い患者さんに最適な治療を提供します。
昭和42年の分院開設時から腎センターは透析療法を始めました。私たちは先人たちの歴史と熱意を引き継ぎ、最新の医療を提供していきます。
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、最も多い遺伝性腎疾患で、両側の腎臓に多数の嚢胞が出現し、徐々に大きくなり、腎臓全体も大きくなる病気です。それに伴い、腎機能も徐々に悪化し、最終的に末期腎不全となり、人工透析が必要となります。腹部膨満症状が強く、食事が十分に摂れなくなり、やせていき栄養失調になる患者さんがしばしば見られます。
私達はこのADPKDの腫大腎に対して、1997年より腎動脈塞栓術を行い、2017年までに1000例以上の手術を行って参りました。腎動脈塞栓術により、腎臓の大きさは1年で平均約55%に縮小し、腹部膨満症状は大きく改善します。
ADPKDのもう1つの大きな合併症として、嚢胞感染症があります。これは、腎臓または肝臓の嚢胞の中に膿が溜まる病気で、難治化し再発を繰り返すことがあります。当院では、この腎または肝嚢胞感染症についても豊富な治療経験があり、日本全国から患者さんを受け入れています。
近年、若年のADPKD患者さんに対しても、積極的に治療が行われるようになってきました。進行するタイプのADPKDに対しては、治療開始が早ければ早いほど、より大きく病気の進行や腎臓の増大速度を遅らせ、腎不全に至る年齢を遅らせることができることが分かってきたからです。治療方法の1つは、トルバプタンという利尿剤です。この薬は、腎容積増加抑制や腎機能低下抑制に効果があることが報告されています。この薬以外にも若年から厳格な血圧管理や食事療法、適切な水分摂取などが、ADPKDの進行を抑えるためにとても重要であることが分かってきています。私達は、従来の進行したADPKD患者さんだけではなく、若年で早期のADPKDの治療に対しても力を入れていきたいと考えております。
若年のADPKD患者さんの中には、病識がほとんどなく、どんな病気かもあまり知らない方がしばしば見られます。しかし、多発性嚢胞腎と診断されなければ専門医を受診することもできず、患者さんがこの病気について十分な知識を得る機会がないのが実情です。このような現状を踏まえ、私達は多発性嚢胞腎について理解を深めるための説明外来を設置することにしました。この説明外来の目的は、多発性嚢胞腎という病気についてよく知ってもらうことです。どんな方でも受診することができ、この病気について理解を深めることができます。この外来を受診することで、多発性嚢胞腎の検査を受けてみようと思ったり、検査を受けるのはまだ気が引けるが日常生活でこんなことを気を付けようという方が出てきて下さったら、私達の本望です。
当センターは慢性腎臓病(慢性に経過する腎臓病)の最大の原因である糖尿病性腎臓病の診断・治療に力を入れており、糖尿病性腎臓病のトータルケアを行っております。
現在、糖尿病患者さんは約1000万人、境界型糖尿病患者さんも含めると約2000万人いると推定されており、そのうちの約30%が糖尿病性腎臓病を有していると言われております。また、糖尿病性腎臓病は、透析導入の最大の原因となっております。糖尿病性腎臓病は、糖尿病による高血糖状態が長年続くと尿タンパクが出現し、その後、腎臓の機能が低下していくという経過を辿ることが知られておりました。しかしながら、近年、尿タンパクが出現しなくても腎機能が低下していく糖尿病性腎臓病など様々な病型(タイプ)があることがわかりました。これは、糖尿病性腎臓病は糖尿病による高血糖だけが関与しているのではなく、高血圧、脂質異常(高コレステロール血症、高中性脂肪血症など)、肥満などメタボリック症候群も関与していることがわかってきました。それゆえ、糖尿病性腎臓病の治療は、血糖管理だけでなく、血圧管理、脂質管理、体重管理も含めたトータルケアが必要となってきます。
糖尿病性腎臓病は高血糖、高血圧、脂質異常、肥満など複雑に絡んでいるため、病型は多彩であり、患者さん一人一人の病型を見極め(診断)、その病型に合った適切な治療をして行かなければなりません。当センターは、これまで培ってきた糖尿病性腎臓病の診断プロセス、治療法を提供するだけでなく、内分泌代謝科と協力して血糖管理を行い、リハビリテーション部と協力して減量・運動プログラムを提供しております。残念ながら、透析が必要になる患者さんには、腎センター外科と協力して透析や腎移植を提供しております。また、当センターの最大の特徴として、糖尿病性腎臓病領域を専門としている医師達による診療を提供していることや、当センターから糖尿病性腎臓病に関する研究論文が多数出ており、いち早く最新知見を患者さんに還元できることがあります。
一般に糖尿病性腎臓病は自覚症状がなく進行することが多いため、症状が出た時には透析が必要となることがあります。しかしながら、早期に診断し、適切に治療を行っていけば、糖尿病性腎臓病の進行を抑えることができることを我々は見てきております。当センターでは、糖尿病性腎臓病の患者さん一人一人にトータルケアを施し、糖尿病性腎臓病の進行抑制、最終的には克服を目指します。
増加する慢性腎臓病(CKD)患者の治療を腎臓専門医だけ、あるいは、かかりつけ医だけで行うのは困難な状況になってきております。
そこで、当院の腎臓専門医とかかりつけの先生方が協力して、CKDの早期診断・予後評価、早期からのCKD治療介入を行えるネットワークを作成致しました。
蛋白尿、血尿、腎機能障害など、状態に応じて我々腎臓専門医にご紹介いただき、精査評価の上でかかりつけの先生方と連携してCKD診療をして参ります。
当院への紹介状(診療情報提供書)は下記をクリックして作成し、医療連携室または腎センター内科外来にて予約していただけます。
診療情報提供書(CKD連携)はこちらからどうぞ
当院には透析看護認定看護師、腎臓病療養指導士 糖尿病療養指導士が在籍しており「腎機能が低下した」「先生から透析を勧められた、でもどうしたら良い?」など、患者さんの状態や生活に合わせて、腎機能を維持出来る生活習慣や食事療法・運動療法の提案、腎代替療法を一緒に考え、ご提案させていただきます。
具体的には
①患者さんの今のCKDの病状の説明。
②腎臓の働き、CKDの説明、合併症、検査結果。
③日常生活の送り方(食事、薬、運動)。
④患者さんとご家族が病気とともに生活する中で心配なこと。
⑤病状が進行した時の治療とその準備(腎代替療法:血液透析・腹膜透析・腎移植)
⑥利用可能な社会資源
⑦その他専門職への相談調整
予約について:腎不全保存期相談外来の予約は、どの科の患者さんもできます。主治医へご相談の上、外来予約を行ってください。
糖尿病、肝臓病、腎臓病、消化器の術後のほか、脂質異常症、高血圧、心臓病、胃腸の病気、がん、低栄養、のみこみの不自由等、さまざまな疾患や病状に対応し、それぞれの方の日常生活に配慮し、実践しやすい栄養食事管理の具体的な方法を一緒に考え、継続できるようにお手伝いします。
ご利用には医師の指示が必要です。ご希望の方は主治医にお申し出下さい。
【対象】 |
外来・入院患者さんとそのご家族 生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧など)、慢性腎臓病、糖尿病透析予防、 透析導入後、腎移植後、造血幹細胞移植後など各種疾患 |
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【時間】 |
月~金曜日 9:00~16:00 約30分 |
【場所】 |
外来診察室8番 |
【利用方法】 |